Spotify元幹部、AI学習プラットフォーム「Oboe」を発表
詳細を読む
Spotifyの元幹部らが今月、AI教育プラットフォーム「Oboe」を立ち上げました。ユーザーが入力したトピックに対し、AIがオーダーメイドの学習「コース」を自動生成するサービスです。開発チームは「質の高い学習体験の民主化」を目的としていますが、情報の信頼性には課題が残ります。
「Oboe」は、チャットボットのような画面で知りたいことを入力するだけで、教科書の一章のような解説文や要点リスト、FAQ、AIがホスト役を務めるポッドキャストまで多様な形式で情報を提供します。これにより、ユーザーは断片的な情報を自ら集める手間なく、体系的に知識を学べます。
しかし、このプラットフォームが抱える最大の課題は情報の正確性です。生成される文章には出典元が示されず、ユーザーは情報の真偽を自ら外部で検証する必要があります。AIが不正確な情報を生成する「ハルシネーション」のリスクは依然として大きな懸念点です。
開発責任者は対策として、複数の大規模言語モデル(LLM)に互いの生成内容をチェックさせる仕組みを導入したと説明します。あるLLMが生成した内容を、別のデータセットで学習した異なるLLMが検証し、誤りを特定・修正することで、不正確さの可能性を減らす試みです。
現時点ではユーザーが誤りを直接報告する機能しかありませんが、数ヶ月以内には情報の出典を示す引用機能を追加する計画です。Oboeは、使われるほどにユーザーの学習スタイルを理解し、人間のように最適化されていく学習プラットフォームを目指しています。
個人の知的好奇心に合わせた学習体験を提供するというコンセプトは野心的です。しかし現状では、情報の信頼性というAI活用の根幹に関わる課題が残ります。ビジネス等で活用するには、引用機能の搭載など、信頼性を高める今後の改善が不可欠と言えるでしょう。