詳細を見る
米著作権専門弁護士のキャシー・ゲリス氏によれば、AIモデルの学習を巡る著作権問題は一見単純に見えて、実際には非常に複雑だといいます。ChatGPTやGemini、Claudeなどの生成AIは、著者の同意なく数億冊もの書籍を学習データとして利用してきました。この状況を巡り、米国の裁判所では著作権法の解釈が大きく揺れ動いています。
2025年、ウィリアム・オルサップ判事はAnthropicに対し、著者らへ15億ドルの著作権和解金を支払うよう命じました。一見著者側の勝利に見えますが、判事はAIの学習自体は合法だと判断しています。同社が処罰されたのは、書籍を違法な海賊版サイトから入手した点でした。
オルサップ判事は、AnthropicのAIモデルが大量の文章を学習する様子を、作家が文学を研究する過程になぞらえました。ゲリス氏は、この判決が年間2000億ドル規模の収益を見込むAI企業にとって有利な内容だと指摘します。著作権法は複製を規制するものであり、単に作品を読んだり利用したりする行為までは規制しないという解釈です。
著作権を巡る判断の多くは、利用がフェアユースにあたるかどうかに左右されます。弁護士のジェイソン・ヘンダーソン氏によると、学習の目的が権利者と直接競合するかどうかが分かれ目になるといいます。実際、Thomson Reutersとの訴訟では、競合するAI法律プラットフォームの開発が争点となり、裁判所は侵害を認定しました。
AIが生成した著作物の扱いも未解決の課題です。Thaler対Perlmutter訴訟では、完全にAIが生成した作品は著作権保護の対象外だと判断されました。一方で、人間がどこまで関与したかを立証する基準は定まっていません。多くのAI企業が現在も訴訟を抱えており、統一的な結論が出るまでには時間がかかる見通しです。