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AnthropicがSpaceXのデータセンター「Colossus」へのアクセスに対し、月額12.5億ドル(約1,850億円)を2029年5月まで支払う契約を結んでいたことが、SpaceXのIPO申請書類(S-1)で明らかになりました。年間150億ドルに達するこの契約額は、SpaceXの2025年通期売上高187億ドルに匹敵する規模です。
契約にはいずれかの当事者が90日前の通知で解約できる条項が含まれています。AI業界の急速な変化を反映した条件であり、Anthropicにとっては競合であるGrokを開発するSpaceXとの異例の取引です。一方、Anthropic自身は初の四半期黒字に近づいており、次の四半期の売上高は109億ドル以上と前四半期の2倍超を見込んでいます。
SpaceXのS-1からは、同社のAI事業への傾斜ぶりも鮮明になりました。2025年の設備投資のうち127億ドル(61%)がAI関連で、2026年第1四半期にはAIに77億ドルを投じた一方、宇宙部門にはわずか10億ドルでした。xAIを正式吸収した同社は、AIを事業の柱と位置づけています。
しかしAI事業の収益化は道半ばです。SpaceXのAI部門は2025年に売上高32億ドルに対し63億ドルの営業赤字を計上。2026年第1四半期も売上8.18億ドルに対し25億ドルの赤字でした。同社はAIの市場規模を26.5兆ドルと試算していますが、GartnerやCitigroupの予測(2027年に3.3兆ドル、2030年に4.2兆ドル)と大きく乖離しています。
Grokの普及にも課題があります。AppMagicの調査によると、Grokの有料利用率は0.174%にとどまり、ChatGPTの6%超を大幅に下回っています。SpaceXはMuskの発言通り他のAI企業にも計算資源を提供する「AIコンピュート・アズ・ア・サービス」事業を展開する構えですが、自社モデルの競争力強化と外販ビジネスの両立が問われます。