AIで蘇る故人、スタン・リーホログラムに倫理の壁

導入事例規制・法務マルチモーダル

AIホログラムへの猛反発

故スタン・リー氏のAIホログラムが登場
ファンから「悪魔的」と強い批判
有料での対話体験($15-20)
「冒涜的」「悪趣味」との声

主催者側の主張と狙い

主催者は体験後の評価を要求
「真摯な体験」の創出を目指す
技術と倫理の新たな論点を提示
故人のデジタル肖像権の問題
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米国ロサンゼルスで今週末開催される「LAコミコン」で、故スタン・リー氏のAI搭載ホログラムが登場し、大きな物議を醸しています。2018年に95歳で亡くなったマーベル・コミックの伝説的クリエイターと有料で対話できるこの企画に対し、ファンやメディアからは倫理的な観点から「冒涜的だ」といった厳しい批判が殺到。故人のデジタル肖像権を巡る新たな議論が巻き起こっています。

ファンからの反発は極めて強いものです。あるゲームメディアは「悪魔的だ」と断じ、SNS上では「信じられないほど無礼」「悪趣味だ」「不気味で最悪」といったコメントが溢れました。多くの人々に愛されたクリエイターのデジタルゴーストを、金儲けの道具にすることへの根源的な嫌悪感が、批判の根底にあるようです。

一方、LAコミコンの親会社CEOであるクリス・デムーラン氏は、こうした批判に反論しています。「実際に体験も見ずに判断するのは残念だ」と述べ、まずは先入観なくホログラムと対話してほしいと訴えました。「私たちは批判を恐れていません。しかし、それは情報に基づいたものであるべきです」と同氏は語り、コンセプト段階での一方的な非難に釘を刺しました。

デムーラン氏は「この試みは完璧ではないかもしれない」と認めつつも、ファンにとって「本物だと感じられる体験」の創出を目指したと強調します。今回の騒動は、AI技術が故人を「復活」させることが可能になった今、その肖像権や尊厳をどう扱うべきかという深刻な問いをビジネス界に突きつけています。技術の進歩と倫理観のバランスをどう取るべきか、企業は難しい判断を迫られるでしょう。