AI画像が犯罪計画の証拠に。ChatGPT生成画像、カリフォルニア放火事件で採用
AI生成物が示す予謀
捜査当局の立証戦略
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米連邦捜査当局は、カリフォルニア州のパシフィックス・パリセーズ火災(Palisades Fire)の放火容疑者ジョナサン・リンダーネヒト氏を逮捕しました。注目すべきは、主要な証拠として、同氏がChatGPTを用いて作成したAI画像が挙げられている点です。これは、AI生成物が犯罪の予謀を示すデジタル証拠として法廷に提出された極めて異例なケースであり、AI技術の悪用と法執行機関のデジタル証拠戦略に大きな影響を与えています。
米司法省(DOJ)によると、容疑者は火災発生の「数ヶ月前」にChatGPTに対し、燃える森や逃げ惑う群衆を描いた「ディストピア的な絵画」の生成を指示していました。捜査当局は、このAI画像を単なる芸術作品ではなく、大規模な山火事を引き起こす計画的な犯行の明確な予兆であると主張しています。この火災は23,000エーカー以上を焼失させ、カリフォルニア史上3番目に破壊的な規模となりました。
AI画像に加え、捜査当局は容疑者の犯行前後の行動を裏付ける複数のデジタル証拠を連携させています。監視カメラ映像や携帯電話の記録により、リンダーネヒト氏が火災現場近くにいたことが判明しています。さらに、放火直後に911に通報した際、彼はChatGPTに対して「タバコが原因で火災が起きた場合、あなたは責任があるか」と責任逃れを試みる質問をしていたことも明らかになっています。
この事件は、AIツールを含むユーザーのデジタル履歴が、捜査における決定的な証拠となり得る新時代を示唆しています。経営者やエンジニアの皆様は、生成AIの利用履歴やプロンプトといったデータが、個人の意図や計画性を示す証拠として扱われる現実を認識する必要があります。AIの普及に伴い、デジタル証拠の収集と分析は、法執行機関にとってますます重要な捜査手法となっています。