犬の嗅覚×AI、呼気でがんを94%で検出
犬とAIによる新発想のがん検診
高い精度と事業展開
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イスラエルのバイオテクノロジースタートアップ「SpotitEarly」が、犬の卓越した嗅覚とAIを融合させた、画期的ながん早期発見テストを開発しました。利用者は自宅で呼気サンプルを採取して郵送するだけで、4大がんの早期発見が期待されています。同社は2030万ドルを調達し、2026年にも米国でのサービス提供を目指します。
検査の仕組みは独特です。まず、利用者が自宅で採取した呼気サンプルを同社の研究所へ送ります。研究所では、特別に訓練された18匹のビーグル犬がサンプルの匂いを嗅ぎ、がん特有の粒子を検知すると座って知らせます。この犬の行動は、AIプラットフォームによって多角的に分析・検証され、高い精度を担保しています。
AIは犬が座る行動だけでなく、カメラやマイクを通じて呼吸パターンや心拍数といった生体情報も監視します。これにより、単にハンドラーが犬の様子を見るよりも客観的で正確な判断が可能になります。1,400人を対象とした臨床試験では、94%という高い精度で早期がんを検出できることが示され、その成果は科学誌Natureのレポートにも掲載されました。
SpotitEarlyは、乳がん、大腸がん、前立腺がん、肺がんという最も一般的な4つのがんを対象としています。単一のがん検査の価格は約250ドルを予定。これは競合の血液検査(約950ドル)と比べて大幅に安価です。手頃な価格設定により、がんの早期発見をより身近なものにすることを目指しています。
犬という「生体センサー」とAIを組み合わせるというSpotitEarlyのアプローチは、ヘルスケア分野に新たな可能性を示しています。この技術は、高価な医療機器に依存しない、新しい形の診断ソリューションとして注目されます。AIを活用したイノベーションを模索する経営者やエンジニアにとって、示唆に富む事例と言えるでしょう。