AIと衛星で養殖支援、タイの新興企業が水質監視

導入事例マルチモーダル市場動向

Aquawiseの革新技術

AIと衛星画像で水質を監視
ハードウェア不要で低コスト
水温・酸素レベルを継続追跡
将来の水質変化を予測

東南アジア市場の課題

既存の監視機器は高価
年間約300億ドルの経済損失
手作業の検査に依存する現状

今後の展望

TechCrunch Disruptで発表
来年には資金調達を計画
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タイのスタートアップ「Aquawise」が、AIと衛星画像を活用した養殖場の水質監視技術を開発しました。同社は10月27日からサンフランシスコで開催される技術カンファレンス「TechCrunch Disrupt 2025」でこの技術を発表します。東南アジアの養殖業者が抱える高コストな水質監視の課題を、ハードウェア不要のソリューションで解決し、水産業の生産性向上を目指します。

Aquawiseの技術は、魚やエビの養殖場を撮影した衛星画像を、物理ベースのAIモデルで解析する仕組みです。これにより、水温、クロロフィル、酸素レベルといった重要な指標を継続的に監視できます。従来の日次や週次の手動検査とは異なり、常時追跡と将来の変化予測が可能になる点が大きな強みです。

なぜ今、この技術が求められているのでしょうか。東南アジアでは、多くの養殖業者が既存のセンサーや水質検査キットを高価で導入できずにいます。水質の悪化は養殖魚の病気を誘発し、業界全体で年間約300億ドルもの経済的損失を引き起こしていると推定されており、安価で効果的な解決策が急務でした。

同社のアイデアは、当初ソナー(音波探知機)を用いるものでしたが、コストの壁に直面。より多くの業者が利用できるよう、衛星データ活用へと舵を切りました。19歳のCEO、Patipond Tiyapunjanit氏が率いるチームは「地域の生活向上に貢献したい」という強いビジョンを掲げています。

Aquawiseは現在、複数の養殖場と協力してデータを収集し、AIモデルの精度向上に注力しています。市場投入に向けた準備を進めるとともに、2026年には投資家からの資金調達も計画しています。養殖業は国連が「100億人の食を支える」と期待する急成長分野であり、同社の技術への関心は高まりそうです。