米最大労組、AIに『労働者中心』の未来を提言
労組が掲げるAIへの要求
AI規制の現状と政治的課題
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米国最大の労働組合連合であるAFL-CIOは10月15日、「労働者第一のAIイニシアチブ」を発表しました。AIの導入が労働者に与える悪影響を抑制するため、団体交渉の強化や法規制の導入を雇用者や政策立案者に強く求めています。これは、AIによる監視や解雇から労働者の権利と尊厳を守り、「労働者中心のAI」の未来を築くことを目的としています。
AFL-CIOが掲げる優先事項は多岐にわたります。具体的には、AIによる職場監視や自動解雇から労働者を守る権利の強化、AI分野で働くための再訓練プログラム、公的資金によるAIシステムの透明性確保などを要求。技術革新と労働者の権利は両立可能だと主張しています。
提言実現の鍵は団体交渉です。同団体は、過去の自動車産業の自動化における成功事例を挙げ、AI導入の移行期を管理する最良のツールだと位置づけています。労働者が開発プロセスに関わることで、無用で危険な技術の導入を防げるとも訴えています。
法規制の強化も重要な柱です。AFL-CIOが支援したカリフォルニア州のAI解雇規制法案は、先日知事の拒否権で否決されました。同団体はこれを「失望」としながらも、今後も州議会への働きかけを続ける強い姿勢を崩していません。
しかし、AI規制への道は平坦ではありません。Meta社などが設立したAI推進派のスーパーPAC(政治活動委員会)は、豊富な資金力でロビー活動を展開。対するAFL-CIOも政治献金を大幅に増額しており、AIを巡る政治的な対立は激化しています。
今回の方針は、AFL-CIOにとって初の統一的な技術アジェンダという点でも画期的です。AIは「経済の単一セクターも例外なく影響を受ける」との認識から、全労働者を対象とした包括的な取り組みが不可欠だと結論付けています。AI時代の労働の未来をかけた動きに注目が集まります。