豪州「AI国家」へ、NVIDIAがエコシステムを主導
シドニーにAI関係者1000人集結
豪州AIエコシステムの急成長
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NVIDIAは先週、オーストラリアのシドニーで「NVIDIA AI Day」を開催し、1000人以上の開発者や研究者、スタートアップが集結しました。イベントでは、各国が自国のデータを管理・活用する「ソブリンAI」をテーマに、生成AIやロボティクスなどの最新動向が議論されました。NVIDIAはインフラ提供やパートナーシップを通じて、オーストラリアのAIエコシステム構築を強力に後押しし、同国をAI分野の世界的リーダーへと押し上げる構えです。
今回のイベントは、オーストラリアにおけるAIの可能性を明確に示しました。コモンウェルス銀行の最高情報責任者は「次世代のコンピュートがAIを牽引している」と述べ、NVIDIAが同国のAIエコシステム構築に貢献していることを高く評価。金融サービスから公共部門まで、幅広い業界でAIによるデジタルトランスフォーメーションが加速している現状が浮き彫りになりました。
エコシステムの中核を担う企業の動きも活発です。オーストラリア発のデザインプラットフォーム大手Canvaは、NVIDIAの技術を活用して数億人のユーザー向けに生成AIソリューションを開発している事例を紹介。同社のエンジニアリング担当シニアディレクターは「NVIDIAの技術を広範に活用し、AI機能をユーザーに提供している」と語り、具体的な協業の成果を強調しました。
未来の成長を担うスタートアップの育成にも力が注がれています。NVIDIAは今回、スタートアップ、ベンチャーキャピタル(VC)、パートナー企業を一堂に集めるネットワーキングイベントを初開催。量子コンピューティングや医療AIなど多様な分野の新興企業が登壇し、自社の技術を披露しました。地域のAI戦略を推進し、セクターを超えた協業を創出する絶好の機会となりました。
NVIDIAは、オーストラリアが持つ強みをAI時代の成長エンジンと見ています。同社の現地法人の責任者は「高性能コンピューティング(HPC)やVFXで培った専門知識と、活気ある量子・ロボティクス産業の融合が鍵だ」と指摘。強力な官民連携と世界クラスのインフラを武器に、オーストラリアがAIによる経済発展の世界的リーダーになる未来像を描いています。