米UNC、AIを最重要戦略に据え学部統合を断行

米国投資

AI最重要戦略と学部統合

AIを大学の最重要戦略に設定
データサイエンス学部を統合
情報・図書館科学部も対象
激動の年に打ち出す野心計画

縦割り打破で変化に対応

学術的な縦割り組織の打破が急務
技術の速い変化への対応策
連邦研究助成金打ち切りの影響
フットボールへの巨額投資も継続
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米国の名門、ノースカロライナ大学チャペルヒル校(UNC)のリー・ロバーツ学長が、AIを大学の「北極星(North Star)」、すなわち最重要戦略と位置づける野心的な計画を明らかにしました。この計画の中核は、データサイエンス学部と情報・図書館科学部を統合し、学術的な縦割りを打破することです。急速に進化するAI技術に大学が迅速に対応できる体制を築くことを目指します。

今回の改革の核心は、「データサイエンス・社会学部」と「情報・図書館科学部」の統合にあります。分野横断的な協力が不可欠なAI時代において、従来の学問領域の壁がイノベーションの妨げになると判断。組織を再編することで、より柔軟で迅速な研究開発と教育体制の構築を急ぐ考えです。

ロバーツ学長は「テクノロジーは大学が通常動けるよりも速く進む」と指摘し、既存の学術的サイロ(縦割り組織)の弊害を強調します。変化のスピードに対応できない硬直化した組織構造こそが、大学が直面する最大の課題の一つであるとの認識を示しました。今回の学部統合は、その課題に対する直接的な回答と言えるでしょう。

一方で、大学は財政的な課題にも直面しています。公衆衛生などの分野で総額3800万ドル(約57億円)に上る連邦研究助成金が打ち切られました。しかしロバーツ学長は、年度初めに比べて資金削減への懸念は薄れていると述べており、戦略的な資源配分を進める構えです。

また、学長はビル・ベリチック氏が率いるフットボールチームへの年間1000万ドル(約15億円)投資を擁護しました。チームの成績が振るわない中でも、フットボール事業が生み出す収益が、大学の他のスポーツプログラムを財政的に支えるために不可欠であると説明しています。