AIの電力消費急増、電気料金値上げの懸念現実に

高まる電気料金への懸念

米消費者の8割が料金を懸念
AI・データセンターが主因と認識

急増するデータセンター需要

米国電力需要は10年以上横ばい
直近5年で商業・産業用が急増
2028年に最大12%を消費と予測

追いつかない電力供給網

再エネ拡大も政策リスクが影
天然ガスは輸出優先で国内不足
発電所建設の長期化がボトルネック
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米国でAIとデータセンター電力消費が急増し、消費者の間で電気料金の値上げに対する懸念が広がっています。太陽光発電事業者Sunrunが実施した最新の調査によると、消費者の80%データセンター電力消費が自身の光熱費に与える影響を心配していることが判明。近年の電力需要の急激な伸びが、この懸念を裏付けています。

消費者の懸念は杞憂ではありません。米国電力需要は10年以上安定していましたが、データセンターを含む商業利用の急増で状況は一変しました。データセンター電力消費は2018年から倍増し、現在では米国の総発電量の約4%を占めます。ローレンス・バークレー国立研究所は、2028年までにこの割合が最大12%に達すると予測しており、電力網への負荷は増す一方です。

これまで旺盛な電力需要は、太陽光など再生可能エネルギーの拡大で賄われてきました。しかし、再エネ導入を促す政策には先行き不透明感があります。一方、もう一つの主要電源である天然ガスも、増産分が輸出に優先され、発電所の新設も時間がかかるため、供給が需要に追いつかない懸念が高まっています。

AI技術は、一部で雇用削減の手段と見なされるなど、社会的な懸念も存在します。こうした状況で、生活に直結する電気料金の値上げという問題が加われば、AI開発やデータセンター建設に対する社会的な反発が一層強まる可能性も指摘されています。