Shopify、AIで注文11倍増 エージェント型コマースへ

AIがもたらす驚異的な成果

AI経由のトラフィック7倍増
AIに起因する注文数は11倍増
消費者の64%がAI利用に肯定的

次世代コマースへの布石

対話型AIによる代理購入の実現
数百万の加盟店データが強み
社内AIツール「Scout」も活用
あらゆるAI対話に購買体験を統合
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Eコマース大手のShopifyは2025年11月4日、第3四半期決算発表の場で、AIの活用によりオンラインストアへのトラフィックが今年1月以降で7倍、AI経由の注文数が11倍に急増したと発表しました。同社はOpenAIなどと提携し、AIを事業の中核に据え、次世代の「エージェント型コマース」の実現を急いでいます。

この驚異的な成長は、同社が9月にChatGPT開発元のOpenAI提携し、対話型AIによるショッピング体験の強化を進めてきた成果です。Shopifyの調査では、消費者の64%が購入時に何らかの形でAIを利用することに前向きだと回答しており、市場の需要は明確です。同社はMicrosoft Copilotなどとも協力関係にあります。

Shopifyのハーレー・フィンケルシュタイン社長は、同社の強みとして数百万の加盟店から得られる膨大な取引データと、迅速に製品を市場投入する「創業者精神」を挙げました。このデータとスピードが、AI時代における競争優位性の源泉になっていると強調します。

同社は社内業務にもAIを積極的に活用しています。例えば、AIツール「Scout」は、数億件にのぼる加盟店からのフィードバックを瞬時に分析し、より的確な製品開発の意思決定を支援します。フィンケルシュタイン社長は「AIは単なる機能ではなく、我々のエンジンそのものだ」と述べ、全社的なAIシフトを鮮明にしました。

Shopifyが目指すのは「エージェント型コマース」の実現です。これは、AIエージェントがユーザーの代理として商品検索から購入までを完結させる未来の購買体験を指します。同社は、あらゆるAIとの対話にシームレスなショッピング機能を統合するためのインフラ整備を最優先課題としています。

なお、同社の第3四半期決算は、売上高が前年同期比32%増の28億4000万ドルと市場予想を上回りました。一方で、営業利益は4億3400万ドルと予想をわずかに下回り、株価は軟調に推移しました。AIへの先行投資が今後の収益性をどう高めていくか、市場の注目が集まります。