Amazon、AI翻訳で作家の海外展開を無料支援
Kindle Translate概要
主な機能と特徴
市場への影響
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米Amazonは11月6日、個人出版作家向けにAIを活用した電子書籍の翻訳サービス「Kindle Translate」のベータ版を開始しました。このサービスは、Kindle Direct Publishing (KDP) を利用する作家が、追加費用なしで自身の作品を多言語に翻訳し、世界中の読者に届けられるようにするものです。まずは英語とスペイン語間の相互翻訳、およびドイツ語から英語への翻訳に対応します。
作家はKDPの管理画面から、翻訳したい言語を選び、価格を設定して簡単に出版できます。出版前にはAIによる翻訳結果をプレビューし、確認することが可能です。読者にとっても、AIで翻訳された書籍には「Kindle Translate」というラベルが明記されるため、購入前に翻訳の品質を判断する材料となります。
この新サービスの背景には、巨大な市場機会があります。Amazonによると、現在サイト上で販売されている書籍の95%以上が単一言語でしか提供されていません。言語の壁が作家の収益機会を制限しており、AI翻訳によってこの課題を解決し、コンテンツのグローバル展開を加速させる狙いです。
一方で、AI翻訳は小説などの文学作品特有のニュアンスを捉えきれない課題も残ります。Amazonは「出版前に自動的に精度を評価する」と説明しますが、具体的なプロセスは不明です。作家自身がプレビューできても、その言語を解さない場合は品質の確認が難しいという指摘もあります。
翻訳された書籍は、読み放題サービス「Kindle Unlimited」の対象にも含まれ、より多くの読者の目に触れる機会が増えます。Amazonはオーディオブックサービス「Audible」でもAIによる多言語ナレーションツールを導入しており、AIを活用したコンテンツのグローバル化を積極的に推進しています。今後の対応言語拡大が期待されます。