パーソナルAI勃興、個の記憶と知見を完全再現へ

感情に寄り添う支援AI

元医師が開発した共感型AIコンパニオン
人間の記憶モデルでユーザーを深く理解
セラピストの代替ではないと強調
シードで550万ドル資金調達

専門知識を拡張する分身AI

デジタルツインで専門知識を拡張
汎用LLMに頼らない独自モデルを開発
クリエイター専門家収益化を支援
シードで1030万ドル資金調達
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個人の感情や専門知識を再現する「パーソナルAI」を開発するスタートアップ、RobynとUare.aiが2025年11月11日、相次いで大型のシード資金調達を発表しました。AIが個人の内面を深く理解し、感情的なパートナーとなる、あるいは専門知識を持つ「デジタルツイン」として機能する新時代の到来を予感させます。市場は新たな競争局面に入りました。

元医師が創業したRobynは、ユーザーに共感し、感情的な知性を持つAIコンパニオンです。人間の記憶の仕組みをモデル化し、対話を通じてユーザーの性格や感情パターンを深く理解します。同社は、Robynを友人アプリやセラピストの代替ではない、あくまで自己理解を助ける「パートナー」と位置づけています。

一方のUare.aiは、Webチャットの先駆者LivePersonの創業者が立ち上げました。当初は故人の人格を保存するサービスを目指していましたが、生前の専門家自身の「分身」を活用したいという需要が高いことに着目し、事業を転換。専門知識を持つデジタルツインの生成に注力しています。

両社の技術的な違いも明確です。Robynが人間の記憶研究の知見をAIに応用する一方、Uare.aiは汎用大規模言語モデル(LLM)のデータを使わず、個人のデータのみで学習する「Human Life Model」を開発。これにより、より忠実で信頼性の高いデジタルツインの構築を目指します。

パーソナルAIの市場は、個人の感情に寄り添う「支援型」と、専門性を拡張する「収益型」に分かれつつあります。経営者エンジニアにとって、自身の専門知識をAIでスケールさせ、新たな収益源とするUare.aiのようなサービスは、事業拡大の強力な武器となる可能性があるでしょう。

単なる作業効率化ツールを超え、AIは個人の内面や能力を拡張する存在へと進化しています。この潮流は、ビジネスパーソンの生産性や市場価値を根底から変える可能性を秘めています。一方で、データの安全性や倫理的な課題も浮上しており、今後の市場の動向を注視する必要があります。