AIコードの信頼は9%、開発者の役割は設計重視へ
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ソフトウェア開発企業BairesDevが2025年11月11日に発表した最新調査によると、AIが生成したコードを人間の監視なしで信頼できると考える開発者はわずか9%に留まることが明らかになりました。一方で、シニア開発者の65%は2026年までに自らの役割がAIによって再定義されると予測しており、単純なコーディング作業から、より高度な設計や戦略立案へと業務内容が移行していくとの見方が広がっています。
調査では、開発者のAIに対する慎重な姿勢が浮き彫りになりました。AI生成コードを「ある程度信頼できる」としたのは56%でしたが、その大半が正確性やセキュリティの検証は必須だと回答。人間の監督を完全に代替するには至らないという認識が一般的です。
AIの普及は、開発者の役割を大きく変えようとしています。シニア開発者の65%が役割の再定義を予測し、そのうち74%がコーディングからソリューション設計へと軸足が移ると考えています。AIが定型業務を担うことで、開発者はより創造的な業務に集中できるようになるのです。
開発現場ではAI導入の恩恵が具体的に現れています。AI支援ツールの活用により、開発者は週平均で約8時間を節約。さらに74%が「技術スキルが向上した」と回答し、ワークライフバランスの改善やキャリア機会の拡大といった効果も報告されています。
もっとも、AIには限界もあります。現在のLLMはシステム全体を俯瞰して推論する能力に制約があります。また、自動化で若手エンジニアの採用が減り、10年後には深刻なシニア人材不足に陥るという、長期的な人材育成への懸念も指摘されています。
このような変化の中で、今後求められるのは「T型エンジニア」だとレポートは指摘します。システム全体に関する幅広い知識(横軸)と、特定の分野における深い専門性(縦軸)を兼ね備えた人材です。専門性と同時に、全体を設計する広い視野が不可欠になります。
2026年はソフトウェア開発の転換点となりそうです。AIは単なる支援ツールではなく、設計からテストまで開発工程に組み込まれる標準基盤へと進化します。AIと競争せず協働できる戦略的思考を持つ開発者が、次の時代のソフトウェア開発をリードしていくことになるでしょう。