ServiceNow、AIエージェント連携で顧客体験を革新

散在するエージェントの課題

部署ごとに断片化したAIエージェント
顧客体験の一貫性の欠如

LangChainによる高度な連携

LangGraphで複雑な連携を構築
LangSmithで挙動を可視化デバッグ
人間が開発に介在し効率化

厳格な評価と今後の展望

独自の評価基準で性能を測定
成功例から品質データを自動生成
本番稼働後の継続的な監視
@LangChainJPのXポスト: 【プロトタイプから本番運用までのAIエージェント技術ガイドが公開】 Sokratis Kartakis氏、Gabriela Hernandez Larios氏、Ran Li氏、Elia Secchi氏、Huang… pic.twitter.com/V5CTxNme6z
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デジタルワークフロー大手のServiceNowが、セールスとカスタマーサクセス業務の変革を目指し、LangChainのツール群を活用したマルチエージェントシステムを開発しています。顧客獲得から契約更新まで、一貫した顧客体験を提供することが狙いです。本記事では、その先進的なアーキテクチャと開発手法を解説します。

これまで同社では、AIエージェントが各部署に散在し、顧客のライフサイクル全体を横断する複雑なワークフローの連携が困難でした。この「エージェントの断片化」が、一貫性のある顧客対応を提供する上での大きな障壁となっていたのです。

この課題を解決するため、ServiceNowは顧客ジャーニー全体を統括するマルチエージェントシステムを構築しました。リード獲得、商談創出、導入支援、利用促進など各段階を専門エージェントが担当し、スーパーバイザーエージェントが全体を指揮する構成です。

システムの核となるエージェント間の連携には、LangGraphが採用されました。これにより、複雑な処理をモジュール化して組み合わせることが可能になりました。また、開発者が途中で処理を停止・再開できる機能は、開発効率を劇的に向上させました。

一方、エージェントの挙動監視とデバッグにはLangSmithが不可欠でした。各ステップの入出力や遅延、トークン数を詳細に追跡できるため、問題の特定が容易になります。これにより、開発チームはエージェントのパフォーマンスを正確に把握し、改善を重ねることができました。

品質保証の仕組みも高度です。LangSmith上で、エージェントのタスクごとに独自の評価基準を設定。さらに、LLMを判定者として利用し、出力の精度を評価します。基準を満たした成功例は「ゴールデンデータセット」として自動で蓄積され、将来の品質低下を防ぎます。

システムは現在、QAエンジニアによるテスト段階にあります。今後は本番環境でのリアルタイム監視に移行し、収集したデータで継続的に品質を向上させる計画です。ServiceNowのこの取り組みは、AIを活用した顧客管理の新たな標準となる可能性を秘めています。