MIT会議、送電網強靭化と対中競争・連携強化が焦点に
出典:MIT News
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マサチューセッツ工科大学(MIT)エネルギーイニシアチブ(MITEI)は年次研究会議を開催し、エネルギー転換における産学官連携、送電網の強靭化、米中競争の行方を主要テーマとして議論しました。2025年4月のスペイン大規模停電や中国のクリーンテック優位性を背景に、参加者は技術革新の加速と政策の安定性が急務であるとの認識を共有しています。
会議では、単独でのイノベーションは限界に達しており、スタートアップや大学とのパートナーシップが不可欠であると強調されました。特に再生可能エネルギーの統合やデータセンターの需要増大に伴い、既存の電力システムへの負荷が懸念されています。これを受け、MITEIは新たに「データセンター電力フォーラム」を立ち上げ、インフラ強化と緊急時計画の策定に向けた議論を主導する方針です。
脱炭素化の実現に向けた技術的課題も浮き彫りになりました。2050年の目標達成には300テラワット時の蓄電容量が必要と試算されていますが、特許の商業化率はわずか4.2%に留まっています。MIT発の高温熱貯蔵技術や持続可能な燃料開発への期待が高まる一方で、研究室から市場への橋渡しを行う支援体制の強化が求められています。
地政学的リスクについては、中国が風力や太陽光分野で圧倒的なシェアを握る中、米国の政策の一貫性欠如が競争力低下の要因として指摘されました。一方で、電池製造における米中企業の合弁事業など、現実的な供給網強化の動きも見られます。専門家は、米国が競争力を取り戻すには、長期的な超党派のエネルギー政策と国際的な協力体制の構築が必要だと結論付けています。