GM、AIで電池開発加速 28年に新素材LMR実用化へ

AI活用による開発の高速化

開発期間を数か月から数日に短縮
AIシミュレーションで配合を最適化
ニッケル含有量等の即時分析が可能

新素材LMRと供給網の自立

新素材LMRバッテリーを採用
LFP並みの低コストで長航続距離
2028年に世界初の市場投入
北米でのサプライチェーン自立
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ゼネラルモーターズ(GM)の幹部カート・ケルティ氏はMITでの講演で、EV普及の鍵となるバッテリー革新の戦略を明らかにしました。コスト削減、性能向上、そして北米でのサプライチェーン構築を三大柱として掲げ、次世代技術の商業化を急いでいます。

特筆すべきは、R&D;(研究開発)におけるAIと仮想化技術の活用です。従来数か月を要した材料配合の調整や性能評価のモデリングを数日に短縮することに成功しました。これにより、ニッケル含有量の微調整が安全性やエネルギー密度に与える影響を即座に予測可能です。

技術的な最大のブレークスルーは、リチウム・マンガン・リッチ(LMR)バッテリーの実用化です。高価なコバルトやニッケルを減らしてマンガンを増やすことで、中国勢が強みを持つLFPバッテリー並みの低コストと、高ニッケル電池に近い航続距離の両立を実現します。

LMR技術自体は既知でしたが、商業化には課題がありました。GMはこの壁を乗り越え、2028年に市場投入する最初の企業となる見込みです。これは、安価な中国製バッテリーに対抗し、北米での競争力を確保するための戦略的な一手となります。

さらに、EVを蓄電池として活用するV2G(Vehicle-to-Grid)技術や、データセンター向けのグリッド規模の蓄電市場にも意欲を見せました。ケルティ氏は、米国には技術革新の土壌があり、製造拠点の回帰と合わせて巨大なバッテリー産業を構築できると強調しています。