ノルウェー養殖×AI:給餌最適化と自律ロボで収益を最大化
出典:MIT News
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米MITの学生らが、世界最大のサーモン生産国ノルウェーで、AIとロボティクスを活用した次世代養殖技術の実証研究に取り組みました。最大のコスト要因である給餌の最適化や、過酷な環境下で稼働する水中ロボットの自律化など、生産性と収益性を高めるための具体的な技術革新が進められています。
養殖業において最も大きなコストを占めるのが飼料代であり、この最適化が収益改善の鍵を握ります。研究では、水温や魚のサイズといった環境データをAIが分析し、過不足のない最適な給餌量を算出するシステムを開発しました。これにより、飼料の無駄を削減しつつ、魚の成長を最大化することが可能となります。
ノルウェー沿岸には約1000の養殖場があり、検査や清掃のために数千台規模のロボットが稼働しています。これら全てを人間が操作することは経済的にも実務的にも不可能なため、ロボットの自律性向上が急務です。学生らは、網の損傷を自律的に修復するロボットアームのシミュレーションなど、省人化技術の開発に注力しました。
こうした技術開発において重要なのが、エンジニアリングと生物学の融合です。「動く生き物」を相手にする養殖現場では、単なる機械的効率だけでなく、魚の福祉や生態への配慮が欠かせません。現場で実際のスケール感や課題に触れることが、実用的なソリューション開発への近道であると専門家は指摘しています。