NVIDIA、思考する自動運転AIと物理AI開発基盤を公開

自動運転を変える「思考するAI」

世界初の自動運転向け推論VLAモデル
思考の連鎖人間並みの判断を実現
研究用にGitHub等でオープン提供

物理AI開発を加速するツール群

開発全工程を網羅したCosmos Cookbook
ロボット動作生成やデータ修復に対応
音声AIや安全性モデルも拡充
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2025年12月、米NVIDIAはAIカンファレンス「NeurIPS」において、自動運転および物理AI(Physical AI)向けのオープンソースモデル群を発表しました。特に注目されるのは、推論能力を持つ自動運転用VLAモデル「Alpamayo-R1」と、物理AI開発ガイド「Cosmos Cookbook」です。同社はこれらの技術を開放することで、ロボティクスや自動運転分野におけるイノベーションの加速を狙います。

NVIDIA DRIVE Alpamayo-R1」は、視覚情報の処理と言語による推論を統合し、行動決定を行う世界初のモデルです。最大の特徴は「思考の連鎖(Chain-of-thought)」を組み込んだ点にあり、歩行者の多い交差点や不規則な交通状況でも、人間のような常識に基づいた判断を下せます。これにより、完全自動運転(レベル4)の実現に向けた安全性が飛躍的に向上します。

物理AIの実装を支援するため、データ生成からモデル評価までの手順を示した「Cosmos Cookbook」も提供されます。開発者はLiDARデータの生成やロボットの動作ポリシー策定など、複雑なタスクに対応した「Cosmos」モデル群を容易に活用できるようになります。ジェンスン・フアンCEOが提唱する「AIの次の波は物理AI」というビジョンを具現化する動きです。

デジタルAI領域でも、複数話者の聞き分けが可能な音声モデルや、AIの安全性を担保するデータセット、推論速度と精度を両立する軽量モデルなどが公開されました。NVIDIAは70本以上の論文を発表しており、ハードウェアだけでなく、次世代AI開発に不可欠なソフトウェア基盤においても、圧倒的な存在感を示しています。