米NY州、個人データに基づく「AI価格設定」の開示を義務化
NY州で新法、AI価格設定が開示対象に
個人データを用いたアルゴリズム価格設定の開示義務
Targetでは地域により卵の価格が異なる事例
特定の消費者や端末に紐づくデータ利用が対象
拡大する「監視価格設定」への規制
FTCが監視価格設定として市場調査を開始
Staplesなど他社でも過去に同様の慣行
全米で関連法案が50以上提出される動き
出典:WIRED
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ニューヨーク州で、顧客の個人データを用いたアルゴリズムによる価格設定の事実を開示することを企業に義務付ける新法が施行されました。大手小売のTarget(ターゲット)では、ウェブサイト上の価格が閲覧者の位置情報等に基づき変動しており、法に則りAI価格設定の利用が表示されています。
実際にTargetのサイトでは、マンハッタンと郊外で卵などの価格に数十セントの差が生じています。価格の横にある詳細アイコンをクリックすると、「この価格はあなたの個人データを使用したアルゴリズムによって設定されました」という通知が確認できます。
新法における「個人データ」とは、特定の消費者や端末にリンク可能なあらゆる情報を指します。企業はデータ利用の事実を「明確かつ目立つように」開示する必要がありますが、具体的にどのデータが価格にどう影響したかという詳細な説明までは求められていません。
こうした変動価格は新しい手法ではありません。過去にはStaplesなどが顧客の位置情報に基づいて価格を変えており、Targetもアプリでの価格表示を巡り訴訟対応を行ってきました。これらは地域ごとのコストなどを反映した結果と説明されています。
規制当局も監視を強めています。連邦取引委員会(FTC)は、個人の行動履歴や特性を利用して価格を決める監視価格設定に関する調査を開始しました。ペンシルベニア州や連邦議会でも類似の法案が提出されており、全米で50以上の関連法案が議論されています。
AI技術の進化により、企業はより高度なダイナミックプライシングが可能になっています。TargetはChatGPT内でのアプリ展開も発表しており、パーソナライズは加速するでしょう。企業は収益性と透明性のバランスをどう取るか、難しい舵取りを迫られます。