AlphaFoldで耐熱作物を開発、光合成酵素の弱点を克服

シミュレーション

温暖化が脅かす光合成の仕組み

光合成酵素GLYKが高温で停止
作物の収穫量減少が深刻な課題
既存実験では構造特定が困難

AIによる構造解析と改良

AlphaFoldで3D構造を予測
植物版酵素の脆弱なループを特定
藻類の特性でハイブリッド化
65℃でも安定する酵素を実現
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ミシガン州立大学の研究チームは、AIモデル「AlphaFold」を活用し、高温環境下でも光合成を維持できる耐熱性作物の開発に道を開きました。気候変動による食糧危機への対抗策として、AIがバイオテクノロジーの進化を加速させています。

温暖化は植物内の分子機械を破壊し、特に光合成に不可欠な酵素「GLYK」の機能を停止させます。研究チームはこの酵素に着目しましたが、従来の実験手法ではその詳細な構造を解明することが困難でした。

そこでAlphaFoldを用いて、植物および高温で生息する藻類のGLYK構造を予測しました。シミュレーションの結果、植物版GLYKにある3つの柔軟なループが熱で変形し、機能不全を引き起こす原因であることを特定しました。

チームは植物の不安定なループを、藻類の頑丈なループに置き換えたハイブリッド酵素を設計しました。この改良酵素は65℃でも安定性を保つことに成功しており、今後は実際の植物での実証実験が進められます。