AI特需でメモリ価格高騰、コンシューマー市場を直撃

AIシフトで再編される供給網

大手3社がAI向け供給を最優先
Micronが消費者向けCrucialを終了
Samsungのメモリ利益は家電の2倍

深刻化する調達難と価格高騰

Raspberry Pi等が製品値上げを発表
PC用RAM価格が500%高騰との報告
小売店ではメモリ価格が時価扱いに
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世界的なAI開発競争の激化により、DRAMを中心とするメモリ市場で深刻な供給不足と価格高騰が発生しています。2025年12月現在、SamsungやMicronといった主要メーカーが、巨額の利益を生むAIデータセンター向け出荷を最優先し、消費者向け市場への供給を絞り始めたことが主因です。

メモリメーカー各社は、AI特需を取り込むために事業構造の大胆な転換を図っています。Micronは長年親しまれた消費者向けブランド「Crucial」の終了を決定し、リソースをAI向けに集中させると発表しました。実際、Samsungの直近の決算では、メモリ部門の利益がテレビ・家電部門の約2倍に達しており、企業戦略としてのAIシフトは不可避な状況です。

この供給網の変化は、PCやIoT機器の価格上昇として顕在化しています。Raspberry Piはメモリコスト増を理由に、主力モデルを最大25ドル値上げしました。また、BTOパソコンメーカーのCyberPowerPCは、メモリ調達コストが一時500%も上昇したとし、システム全体の値上げを余儀なくされています。

市場の混乱は小売現場にも波及しており、サンフランシスコの一部のPCパーツショップでは、価格変動が激しすぎるためにRAMを「時価」で販売する異常事態となっています。AIインフラへの投資熱が沈静化するまで、ハードウェア調達コストの高止まりと調達難は続くと予測されます。