NVIDIA、Graph500で世界新記録 GPUがCPU領域を凌駕

グラフ処理で世界一の性能

H100クラスターがGraph500で首位を獲得
毎秒410兆エッジを探索する圧倒的処理速度
競合比で2倍の性能を達成

驚異的なコスト効率

わずか1/9のノード数で記録達成
費用対効果は競合システムの3倍以上
エネルギー効率もCPUの4.5倍

AIと計算の未来

推論時のスケーリングが次の焦点
複雑なスパース処理GPUへ移行
自律型AIやロボティクスへ応用拡大
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NVIDIAは2025年12月、CoreWeaveと共同構築したH100 GPUクラスターにより、大規模グラフ処理性能を競う「Graph500」で世界新記録を樹立しました。これまでCPUが主役だった複雑なデータ処理領域においても、GPUが圧倒的な優位性を示し、計算インフラの歴史的な転換点を迎えています。

今回の記録では、毎秒410兆回のエッジ探索(TEPS)を達成しました。特筆すべきは、競合システムの2倍以上の性能を、わずか約9分の1のノード数で実現した点です。これは費用対効果において3倍以上の改善を意味し、企業のインフラ投資効率を劇的に高めます。

グラフ処理はデータが不規則で疎(スパース)なため、従来はCPUの独壇場でした。しかしNVIDIAは、通信と計算をGPU上で完結させる新技術を導入し、CPUを経由するボトルネックを解消しました。これにより、AI以外の科学技術計算でもGPUへの移行が加速します。

エネルギー効率を競う「Green500」でも、NVIDIAGPU搭載システムが上位5位を独占しました。CPUシステムと比較して平均4.5倍の効率を誇り、データセンター電力制約が厳しくなる中、持続可能な計算リソースの確保において決定的な解決策となります。

AI開発において、従来の「事前学習」「事後学習」に加え、推論時に計算量を増やす「テストタイム・スケーリング」が重要になっています。推論段階での高度な推論や計画能力が求められるようになり、学習完了後も強力なGPUインフラが必要不可欠です。

この計算能力の飛躍は、物理世界で活動するロボットや、自律的にタスクをこなすエージェントの実用化を後押しします。GPUは単なる演算装置から、全産業の生産性を底上げする「デジタル労働力」の基盤へと進化しています。