LinkedInアルゴリズムに女性コンテンツ抑制の疑惑
実験が示した性差の可能性
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2025年11月、LinkedInユーザーの間で「#WearthePants」と呼ばれる実験が拡散しました。女性ユーザーがプロフィールの性別を男性に変更した結果、投稿のインプレッション数が急増したと報告したことが発端です。
実験を主導したのは起業家のシンディ・ガロップとジェーン・エヴァンスで、合計15万人超のフォロワーを持つ二人が、フォロワー約9,400人の男性に同一内容を投稿させたところ、到達数に100倍以上の差が生じました。
マリリン・ジョイナーを含む複数の女性が、性別を男性に変更した直後にインプレッションが238%跳ね上がる経験をしたと証言しており、これがLLMベースのアルゴリズム変更後の数カ月間に起きたと述べています。
LinkedInは2025年8月、エンジニアリング担当副社長ティム・ジュルカが「LLMを活用してユーザーに有用なコンテンツを表示するよう改善した」と発表しており、この変更以降に多くのユーザーがエンゲージメントの低下を感じ始めました。
同社の責任あるAI&ガバナンス責任者サクシ・ジャインは、「アルゴリズムは性別・年齢・人種などのデモグラフィック情報をコンテンツ可視性の判定に使用していない」と改めて否定しました。デモグラフィックデータはフィードの公平性テストにのみ利用していると説明しています。
データ倫理コンサルタントのブランデイス・マーシャルは、モデルを訓練した人材の属性が「白人・男性・西洋中心的な視点」をシステムに埋め込んでいる可能性を指摘しています。人間が生成したコンテンツで学習したLLMは人間のバイアスを反映しやすいとされています。
一方、コーネル大学のサラ・ディーン助教授は、アルゴリズムが既存の社会的シグナルを増幅させているに過ぎない可能性も示唆しています。性別変更実験ではバイラルトレンドへの参加や投稿再開など多くの交絡要因が排除できておらず、因果関係の証明は困難です。
ある参加者は、「男性として」投稿した週に文体を簡潔・直接的なスタイルに変えており、その変化自体がアルゴリズムに評価された可能性を認めています。これはLLMが男性的とされる文体を高く評価するよう学習されている暗黙バイアスを示唆します。
LinkedInはアルゴリズムの詳細を公開しておらず、ユーザーからは透明性を求める声が上がっています。ただし、透明性の向上はアルゴリズムの悪用につながりかねないというジレンマもあり、完全な情報開示は現実的には難しい状況です。