トランプ氏、州AI規制阻止へ大統領令 連邦一元化を推進
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トランプ米大統領は12日、各州で独自の広がりを見せる人工知能(AI)規制を阻止し、連邦政府による一元管理を目指す大統領令に署名しました。州ごとに異なる規制の乱立(パッチワーク状態)を解消し、企業にとって「最小限の負担」となる国家統一基準を設けることで、米国のAI覇権を維持・強化することが狙いです。この動きは、ホワイトハウスのAI・暗号資産担当であるデビッド・サックス氏の影響が色濃く反映されています。
大統領令は、司法省に対し「AI訴訟タスクフォース」の設置を指示し、連邦の方針と矛盾する州法を積極的に提訴する構えです。また、商務省には90日以内にイノベーションを阻害する「過酷な」州法を特定させ、該当する州への連邦ブロードバンド補助金(BEAD)を停止する可能性も示唆しました。特にコロラド州の消費者保護法については、AIモデルに虚偽の出力を強いる恐れがあるとして、異例の名指し批判を行っています。
ビジネス界にとっての焦点は、この命令が期待通りの「規制統一」をもたらすか、逆に「法的な不確実性」を長期化させるかです。テック業界、特にリソースの限られたスタートアップにとって、州ごとの異なる規制への対応は重荷でした。しかし、大統領令だけで州法を完全に無効化することは憲法上困難であり、専門家は長引く法廷闘争によって、企業がどっちつかずの法的空白(Legal Limbo)に置かれるリスクを警告しています。
今回の強硬策は、連邦議会での包括的なAI法案審議が停滞していることを受けての措置です。トランプ政権はシリコンバレーの有力者と連携し、開発企業の自由度を最大限確保する方針ですが、消費者保護を掲げる州政府との対立は不可避の情勢です。経営者は、当面の間、連邦と州の権限争いによる規制環境の変動を注視し、どちらに転んでも対応できる柔軟なコンプライアンス体制を維持する必要があります。
