MITが計算生物学で2つの成果を発表

動画MIT教師

深層学習でショウジョウバエの細胞発生を予測

MITチームが新たな深層学習モデルを開発
ショウジョウバエの胚発生を細胞単位・分単位で予測
「デュアルグラフ」構造で点群と泡モデルを統合
約5,000個の細胞の挙動を90%の精度で再現
将来的にゼブラフィッシュやマウスへの応用を想定
喘息など早期疾患の細胞パターン検出にも期待

ゲノム言語モデルで微生物の化学多様性を解析

MIT教員Yunha Hwangが計算×生物学の研究を推進
地球上の生物種の99.999%を占める微生物に着目
既知遺伝子の1%未満しか機能が実験で検証済み
ゲノム言語モデルでDNA配列からタンパク質機能を推定
タンパク質の文脈(前後のゲノム領域)を考慮した解析
炭素固定・新素材・感染症対策への応用を展望
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MITの研究者たちが、計算手法と深層学習を生物学に応用した2つの成果を2025年12月に相次いで発表しました。いずれもこれまで解析が困難だった複雑な生命現象に、AIを用いて迫る試みです。

最初の研究では、Ming Guo准教授らのチームがショウジョウバエの初期胚発生を細胞レベルで予測する深層学習モデルを開発し、学術誌『Nature Methods』に発表しました。

このモデルは細胞を点群と泡の両方として同時に表現する「デュアルグラフ」構造を採用しています。細胞の位置・接触状態・折り畳み・分裂などの幾何学的特性を高精度に捉えることができます。

ミシガン大学が撮影した高解像度タイムラプス動画を用いて学習を行い、約5,000個の細胞それぞれの1時間にわたる挙動を90%の精度で予測することに成功しました。

研究チームはこの手法を他の生物種に拡張し、喘息や癌といった早期疾患に特有の細胞動態パターンの発見を目指しています。データの質が今後の応用拡大における主なボトルネックだと研究者らは述べています。

もう一つの研究は、MIT生物学部とEECSの兼任教員として着任したYunha Hwang助教によるものです。極限環境に生息する微生物のゲノムを計算的に解析する研究に取り組んでいます。

Hwang助教はDNAを「言語」として扱うゲノム言語モデルを開発し、実験室で培養できない微生物の機能をインシリコで推定する手法を研究しています。タンパク質の機能を単独ではなくゲノム上の前後文脈とともに解釈する点が特徴です。

微生物は地球上の炭素固定や栄養循環を担う重要な存在であり、その代謝能力を理解することは気候変動対策や新素材・医薬品の開発に直結します。計算生物学はこの膨大な「微生物の暗黒物質」を解き明かす鍵と位置づけられています。