MIT研究チーム、魚の遡上をAI画像認識で自動計測する手法を開発
システムの概要
水中カメラと深層学習の統合
マサチューセッツ州3河川で実証
約6万フレームを手動ラベル付け
エンドツーエンドの計測パイプライン構築
成果と知見
2024年に4万2510匹を自動計測
上流移動は夜明けにピーク
下流移動は夜間に集中と判明
今後の展望
市民科学との補完的運用を提唱
多種の水生生物への応用を想定
出典:MIT News
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MITシーグラント、MIT CSAIL、ウッドウェル気候研究センターなどの共同チームは、水中映像とコンピュータビジョンを組み合わせ、ニシン科の魚の遡上数を自動計測するシステムを開発しました。研究成果は2026年2月、学術誌Remote Sensing in Ecology and Conservationに掲載されています。
従来の魚の遡上モニタリングは、ボランティアによる目視計測が主流でしたが、日中の短い時間帯に限られ、夜間の移動や短時間に数百匹が通過する瞬間的なピークを捉えられないという課題がありました。水中映像の手動確認も膨大な時間を要し、自動化への需要が高まっていました。
研究チームはマサチューセッツ州のクーナメセット川、イプスウィッチ川、サンタイット川の3河川に水中カメラを設置し、照明条件や水の透明度、魚種・密度が異なる1435本の映像クリップから5万9850フレームを手作業でラベル付けしました。このデータセットで物体検出・追跡モデルを訓練しています。
2024年のクーナメセット川での実証では、システムが4万2510匹のニシンを自動計測し、従来手法と整合する結果を得ました。さらに上流への移動が夜明けにピークを迎え、下流への移動は捕食者を避けるため暗く静かな夜間に集中するという行動パターンも明らかになっています。
研究チームは、自動計測システムが完全に導入された後も、カメラの維持管理や映像のアノテーション、モデル検証において市民科学ボランティアの役割は不可欠だと強調しています。AIと人間の観察を統合することで、より包括的な環境モニタリングの実現を目指す方針です。