Sierra CEO、クリック時代の終焉を宣言
詳細を読む
顧客サービス向けAIエージェントを開発する米Sierraの共同創業者兼CEO、ブレット・テイラー氏は4月9日、サンフランシスコ開催のHumanXカンファレンスで、クリック操作の時代は終わると語りました。従来のWebアプリは自然言語による指示に置き換えられ、利用者はインターフェースに触れずに業務を完結できるようになるとの見方を示したのです。
核となるのは、先月投入したGhostwriterと呼ぶ「エージェントを作るエージェント」です。利用者が必要な業務を言葉で説明すると、Ghostwriterが専用エージェントを自律的に構築・展開し、作業を代行します。Sierraはこの仕組みを「Agent as a Service」と位置づけ、従来型SaaSに代わる新たな提供モデルとして押し出しています。
テイラー氏が既存SaaSの限界として挙げたのは、多くの業務システムが日常的に使われていない現実です。「従業員はWorkdayに新規入社時と福利厚生の更新時くらいしかログインしない」と指摘し、複雑な画面遷移を覚える代わりに自然言語で用件を済ませる世界が到来すると強調しました。企業が本当に欲しいのはソフトウェアそのものではなく、課題への解決策だという主張です。
導入スピードも急伸しています。Sierraは百貨店大手Nordstrom向けのエージェントをわずか4週間で展開したと明かしました。創業から21カ月未満で年換算収益1億ドルに到達し、昨年9月にはGreenoaks Capital主導の3億5000万ドル調達で評価額100億ドルをつけています。Ghostwriterの活用で、この展開速度はさらに加速する見通しです。
ただし、同氏の描く未来像には留保も必要です。TechCrunchが複数の技術者や投資家に取材したところ、現状のAIエージェントは完全自律には程遠く、SierraやリーガルAIのHarveyなど多くのベンダーが前線配備エンジニアを常駐させ、顧客ごとにエージェントを微調整しているのが実情です。経営層としては、華やかな宣言と実装コストの両面を冷静に見極める必要がありそうです。