米イラン戦争でAIプロパガンダが氾濫、真偽判別が困難に
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2026年2月末に始まった米国・イスラエルによるイラン攻撃をめぐり、AI生成プロパガンダがかつてない規模でオンラインに氾濫しています。イラン系メディアはレゴ風のAI動画で国際的な共感を集め、一方のホワイトハウスもミームやAI画像を投稿。双方が「ブレインロット(脳腐れ)」コンテンツで情報戦を繰り広げる異例の事態となっています。
イラン関連の制作集団「Explosive Media」は、約24時間で2分間の合成レゴ動画を制作できると報じられています。イラン革命防衛隊が資金提供する少なくとも50の制作会社が存在し、若い世代がSNSに最適化した短尺コンテンツを次々と生み出しています。これらの動画はイラン国内向けではなく、反米感情を持つグローバルな視聴者をターゲットとしています。
深刻なのは、真実と虚偽の境界が完全に崩壊しつつあることです。イランのミナブで発生した学校への空爆では175人が死亡しましたが、その実際の映像がSNS上で「AI生成だ」と疑われました。逆にイラン側は、ディープフェイクの血まみれリュック画像を投稿するなど、事実とフェイクを混在させています。
検証の基盤も揺らいでいます。衛星画像大手Planet Labsは米政府の要請で中東の画像提供を無期限停止しました。ネット全体のトラフィックの51%をボットが占め、AI検出ツールは画像の95%が本物でも残り5%の改変を見抜けないケースが増えています。検証専門家は「すべての旧来の手法は、画像が何かの記録であるという前提に基づいていた。生成AIはその前提を根底から壊す」と警告しています。
この状況はビジネスにも示唆を与えます。情報の真偽判断コストが急上昇し、リポスト前の一時停止が唯一の防御策だと専門家は指摘します。長期的には画像の出所を証明する「プロヴェナンス(来歴証明)」システムの構築が不可欠ですが、現時点ではそのインフラは整っていません。国家間の情報戦がAIで加速する中、企業や個人が情報リテラシーを高める必要性がこれまで以上に高まっています。