MITとIBMがAI・量子計算の共同研究所を設立

研究所の概要と目的

旧Watson AI Labを発展的に改組
AI・アルゴリズム・量子計算の3領域
古典計算の限界を超える手法開発

研究の重点分野

小型・高効率な言語モデル設計
量子アルゴリズムで材料・化学に応用
気象予測や金融リスク低減への波及

産学連携の実績と展望

過去に210件超の研究を支援
1500本超の査読付き論文を発表
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MITIBMは2026年4月29日、AI・アルゴリズム・量子計算の3分野を統合的に研究する「MIT-IBM Computing Research Lab」の設立を発表しました。2017年に設立されたMIT-IBM Watson AI Labを発展的に改組したもので、AIが実用段階に入り量子計算が急速に進展する現在の技術環境を反映しています。両者は計算の数学的基盤そのものを再定義することを目指します。

研究所はAI、アルゴリズム、量子計算の3つの柱で構成されます。AI分野では小型で効率的なモジュール型言語モデルの設計や、信頼性と透明性を重視した企業向けAIシステムの開発に取り組みます。量子分野では材料科学・化学・生物学への応用を見据えた新しい量子アルゴリズムの開発を加速させます。

アルゴリズム分野では、機械学習数学的基盤やハミルトニアンシミュレーション、偏微分方程式の新手法を研究します。これらの成果は気象乱気流予測の精度向上、金融市場のリスク低減、タンパク質構造予測による創薬、サプライチェーンの最適化など、幅広い産業への応用が期待されています。

研究所はMIT生成AIインパクト・コンソーシアムや量子イニシアチブとも連携します。IBMは2029年までに世界初の耐故障量子コンピュータの実現を目指すロードマップを掲げており、量子コンピュータと高性能計算・AIアクセラレータを統合する「量子中心スーパーコンピューティング」の推進を研究所の柱に据えています。

前身のWatson AI Labでは150名超のMIT教員と200名超のIBM研究者が参加し、210件超の研究プロジェクトから1500本超の査読付き論文が生まれました。500名以上の学生・ポスドクへの支援実績もあり、新研究所はこの基盤の上に次世代の計算科学者の育成も継続していく方針です。