MIT教授が化学原理を組み込んだAI創薬モデルを開発

化学の直感をAIに実装

ShEPhERDが3D形状で薬物評価
製薬企業が新薬発見に実用中
分子のタンパク質結合を予測
化学的妥当性を生成モデルに付与

反応予測と物理法則の融合

FlowERで反応生成物を予測
質量保存則など物理原理を内蔵
反応中間体の実現可能性を考慮
専門家反応機構理解を再現

化学工学とCSの融合研究

構造解析から実験自動化まで展開
DARPA支援の合成計画研究が原点
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MITのConnor Coley准教授が、化学の基本原理を組み込んだAIモデルを開発し、小分子創薬の効率化に取り組んでいます。薬の候補となりうる化合物は推定10の20乗から60乗に及び、実験的な評価は現実的に不可能なため、AIによるスクリーニングが不可欠になっています。

同教授の研究室が開発したShEPhERDは、候補薬物分子の3次元形状に基づいて標的タンパク質との相互作用を評価するモデルです。すでに複数の製薬企業が新薬発見に活用しており、生成モデルにメディシナルケミストリーの直感を持たせる試みとして注目されています。

もう一つの成果である生成AIモデルFlowERは、異なる化学物質を組み合わせた際の反応生成物を予測します。質量保存則などの物理法則を設計に組み込み、反応経路上の中間ステップの実現可能性も考慮させることで、予測精度を向上させました。

Coley教授は化学工学と計算機科学の交差領域を専門としています。Caltechで化学工学を学んだ後、MIT機械学習ケモインフォマティクスを用いた反応経路最適化の研究で博士号を取得しました。DARPAの「Make-It」プログラムを通じて、機械学習による医薬品合成の改善に取り組んだことが現在の研究の出発点です。

研究室では創薬AI以外にも、コンピュータ支援構造解析、実験室自動化、最適実験設計など幅広い領域に取り組んでいます。化学におけるAI活用のフロンティアを多角的に押し広げる方針です。