Capital OneがAI研究にチーフサイエンティスト起用
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米金融大手Capital Oneが2026年6月、Amazonで音声AI「Alexa」部門を率いたPrem Natarajan氏をチーフサイエンティスト(最高科学責任者)に起用したことが明らかになりました。1億人を超える顧客を抱える銀行が研究職トップを置くのは異例で、AIの最先端が大手テックの汎用基盤から金融など業界特化型へ移りつつあるとの判断が背景にあります。
同社が研究組織を本格構築するのは、AIへの根本的な見方の違いからです。多くの金融機関はAIを既存の大規模言語モデルをAPI経由で組み込む導入対象の技術と捉えています。これに対しCapital Oneは、現実の顧客課題を解くための科学的規律とみなし、まだ存在しない解決策を独自研究で生み出す方針を掲げています。
銀行という業態は精度の要求水準が極めて高く、それが特異な研究環境を生んでいます。例えば不正検知では、カードをタップする一瞬の間に数十億件の取引から異常を見抜く必要があり、わずかな見逃しも顧客に深刻な影響を与えかねません。こうした大規模かつ複雑な制約こそが、大手AIラボに劣らない研究課題をつくり出しているとNatarajan氏は説明します。
研究を支えるのが、約15年前から進めたクラウド全面移行です。米主要銀行で唯一パブリッククラウドに全面移行したことで、レガシーシステムの制約を排し、大規模なモデル学習や継続的な改善を可能にする統合基盤を整えました。研究手法には、提供したい顧客体験から逆算して必要な技術的突破口を特定する「デスティネーション・バック思考」を採用しています。
成果はすでに実用化されています。同社は昨年初め、顧客の指示に基づき実際に行動するエージェント型AIの自動車購入支援ツールを銀行として初めて完全内製で投入しました。外部評価でもAI人材・特許で金融機関首位とされ、上位50金融機関のAI特許の38%を占めるなど、Silicon Valley外では稀な専門性を備えた組織として注目を集めています。