Skan AI、社員の画面観察技術で6300万ドル調達

資金調達の概要

6300万ドルのシリーズC
累計調達額は約1億2000万ドル

観察技術の中身

画面操作からの意図抽出
ログに残らない作業の捕捉
個人でなく統計での集計

導入の効果

取引単価32%減
資金洗浄対策の6割をAIが処理
2年連続で売上3倍超
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企業向けAIの新興企業Skan AIは8月12日、シリーズCで6300万ドルを調達したと発表しました。Cathay InnovationとDell Technologies Capitalが共同主導し、創業7年の同社の累計調達額は約1億2000万ドルとなります。従業員が業務システムをどう操作しているかを画面越しに観察し、企業AIに欠けている「仕事の文脈」を供給する構想が評価されました。

背景には企業AIの停滞があります。同社が引くGartnerの調査では、AIエージェントを本番環境で動かせている企業はわずか8%にとどまり、初期の導入例の95%は全面的な作り直しが必要になると見込まれています。共同創業者兼最高経営責任者のAvinash Misra氏は、問題はモデルの性能ではなく、投入先の企業を正しく理解していないことにあると主張します。

Skan AIは従業員の端末に観察技術を配置し、表計算ソフトやCRM、旧来のメインフレームをまたぐ作業の流れを継続的に捉えます。Celonisなどのプロセスマイニングが基幹システムのログから完了済みの取引を再構成するのに対し、同社が狙うのはログに残らない人手の作業です。難所は画面を見ること自体ではなく、そこから作業の意図を読み取る抽象化にあるとMisra氏は説明します。

従業員の画面を常時観察する手法には、監視ではないかという指摘がつきまといます。同社は個人ではなく数百人分の統計的な傾向を扱う設計とし、観察対象のアプリやURLを企業側が指定するオプトイン方式、データを社内に留める三層構成を採ったと説明します。欧州の労使協議会が承認した導入例を裏付けに挙げますが、同じ仕組みが人員削減の判断材料になりうる点は残ります。

効果の主張はどこまで確かでしょうか。累計5億ドルという顧客価値は実現済みの削減額ではなく、特定された機会の総額だと同社は認めています。一方で個別の事例は具体的で、アメリカの大手銀行では1500人の財務担当者による1120万回の画面切り替えを観察し、取引単価を32%下げ、処理量を41%高めたとしています。

同社が見据えるのは、誰もが同じ最先端モデルを使える時代の差別化です。売上高は非公開ながら2年連続で前年比3倍超の成長を続け、アメリカの大手銀行10行のうち7行を顧客に持つとし、Nvidiaの基盤上で社内完結型の提供も広げます。捕捉していない文脈は取り出せないというMisra氏の言葉が、今回の賭けを端的に示しています。