OpenAIのAstraが数学10問を解決、数学者ら動揺
非公開モデルの成果
検証と評価の分かれ目
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2026年8月、米OpenAIの非公開モデル「Astra」が、数学者たちが数十年にわたり未解決だった10個の問題を解いたと発表し、数学界に大きな戸惑いを広げています。The Vergeの取材に応じた複数の数学者は、量子ゲーム理論や高次元の球充填問題など専門分野で相次いだ成果に驚きを隠せず、研究者としての存在意義を問い直す声も上がっています。
OpenAIは今回、量子ゲーム理論や高次元での球充填問題など幅広い分野の10件の証明を、数百ページに及ぶ論文とともに公表しました。今年5月には同社の非公開モデルが80年来未解決だった単位距離予想を反証しており、今回のAstraも同じ系列のモデルとみられています。専門家の一人は「人間が10問すべてを解いたら誰も信じないだろう」と驚きを語っています。
成果の検証には数学の証明を機械的に確認できるプログラミング言語Leanが用いられ、専門家からは「証明としては成立している」との評価が出ています。一方でOpenAIは当初「10年間進展がなかった問題」と説明していましたが、実際には既存研究者の成果を土台にしていたことが判明し、記述をひっそりと修正した経緯も明らかになりました。
数学者の間で広がっているのは、AIが未解決問題を次々と解決する一方で、新たな研究分野を切り開かないのではという懸念です。チューリッヒの研究者ヨハネス・シュミット氏は「人間が関与しないまま問題が片付けられ、分野が前進しないおそれがある」と指摘しています。フィールズ賞受賞者のジェームズ・メイナード氏も「自分自身を見つめ直している」と心境を明かしました。
博士課程の学生にとっても影響は深刻です。メイナード氏は「今のAIが解けないテーマを選んでも、博士課程を終える4年後にはAIが解いているかもしれない」と警鐘を鳴らしています。一方でOpenAIは10件の成果に要した費用を1件あたり約2000ドルと説明しており、資金力の乏しい研究機関との格差拡大を懸念する声も出ています。
AI懐疑派として知られるゲイリー・マーカス氏は「一分野での成功が全分野での成功を保証しない」と慎重な見方を示す一方、著名研究者らは誇大宣伝への抵抗として「ライデン宣言」に署名しています。数学という比較的低コストな分野が今後もAI企業の宣伝の場として使われ続けるのか、専門家の間で議論が続いています。