DeepMind、年間1.4兆エンベディングで地球をデータ化するAI公開
地球動態把握AIの核心
技術的優位性と応用範囲
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Google DeepMindは、地球の広範な変化を高精度に追跡するAIモデル「AlphaEarth Foundations」を発表しました。このモデルは地球を「生きたデータセット」として捉え、衛星画像やセンサーデータなど多様な情報を統合します。年間1.4兆を超えるエンベディングを生成し、従来困難だった地球規模のデジタル表現と分析を革新します。
AlphaEarthの核心技術は、地球上の10m四方のセルごとに64次元の「エンベディング(数値要約)」を作成する点です。これにより、膨大な地理空間データを統一的に扱えるようになりました。この緻密なアプローチにより、ストレージ要件を従来の16分の1にまで削減しつつ、高い空間的・時間的な詳細度を維持しています。
地球観測における長年の課題であった、衛星データの不規則性や雲による欠損を本モデルは克服しています。光学画像だけでなく、レーダー、気候モデル、さらには地理タグ付きのWikipedia情報まで組み込むことで、マルチソース・マルチレゾリューションな一貫性のあるデータセットを構築しています。
ベンチマークテストの結果、AlphaEarthは競合する既存のアプローチと比較して、平均で23.9%低いエラー率を記録しました。また、ラベルデータが非常に少ない状況下でも高精度な分類を可能にし、通常数千のラベルを必要とするタスクで、少数のサンプルで87種の農作物や土地被覆タイプを特定できています。
この技術は、都市計画やインフラ管理、生態系追跡といった幅広い分野で即戦力となります。特にビジネス領域では、保険会社や通信会社などが空間分析プラットフォームCARTOを経由して利用を開始しています。
これにより、APIや追加ストレージなしで山火事リスクの高い地域を特定するなど、迅速なリスクモデル構築が可能になります。自社の既存ワークフローにエンベディングをロードするだけで、高度な環境プロファイリングが可能になる点がメリットです。
AlphaEarthは、パターンを学習しコンパクトに要約する自己教師あり学習フレームワークであり、生成モデルではありません。非営利利用向けにGoogle Earth Engineデータカタログを通じて無償提供されており、国連食糧農業機関(FAO)を含む世界50以上の組織が既に活用を進めています。