Google AI評価担当200人超解雇、労働条件抗議で
AI評価者の大規模解雇
深刻化する労働環境
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米GoogleのAI製品改善に携わっていた契約社員200人以上が、先月、予告なく解雇されました。解雇は、低賃金や劣悪な労働条件に対する労働者側の抗議活動が活発化する中で発生しており、労働者側は報復人事だと主張しています。AIの性能向上を支える「人間の裏方」の待遇と、アウトソーシングにおける雇用責任の所在が改めて問われています。
解雇を実行したのは、GoogleからAI評価業務を請け負う日立傘下のGlobalLogicです。評価業務は、生成AI「Gemini」などの出力を編集・書き換え、より人間的で知的な応答に調整する重要な役割を担います。特に優秀な「スーパーレイター」には修士号や博士号が求められるなど、高い専門性とスキルを持つ人材が多く従事していました。
労働者たちは、スキルに見合わない不安定な雇用と賃金の低さを訴えていました。特にサードパーティ経由で雇用された評価者は、直接雇用の評価者より大幅に低い賃金で同じ業務を行っていたといいます。これを受け、労働者たちは賃金透明性や待遇改善を求め、労働組合の結成に向けた動きを進めていました。
組合結成の動きに対し、GlobalLogicは報復的な措置を取ったと労働者側は主張しています。特にリモートで働く評価者同士が交流していた社内チャットスペースを、議論が活発化した直後に「勤務時間中は禁止」としました。これは労働者間の組織化を困難にさせるための意図的な行動だと見られています。
さらに、評価者たちが抱える根本的な懸念は、自らの労働がAIによる職の自動化を進めている点です。内部文書によれば、人間の評価データは、AIが自動的に応答を評価できるシステムを訓練するために利用されており、将来的に人間をAIで代替する計画があることが示唆されています。
Googleの広報担当者は、解雇された人々は「GlobalLogicまたはその下請け業者の従業員であり、Alphabet(Googleの親会社)ではない」として、直接的な責任を否定しました。しかし、AIの品質維持に不可欠な労働力を間接的に利用する中で、サプライヤーに対する倫理的な監査と責任がどこまで及ぶべきか、企業統治のあり方が問われています。