Nvidia追撃のGroqが7.5億ドル調達 AI推論特化LPUで69億ドル評価へ
資金調達と企業価値
技術的優位性
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AIチップベンチャーのGroqは先日、7億5000万ドルの新規資金調達を完了し、ポストマネー評価額が69億ドル(約1兆円)に到達したと発表しました。これは当初予想されていた額を上回る結果です。同社は、AIチップ市場を支配するNvidiaのGPUに対抗する存在として、推論特化の高性能なLPU(言語処理ユニット)を提供しており、投資家の高い関心を集めています。
Groqの核となるのは、従来のGPUとは異なる独自アーキテクチャのLPUです。これは、AIモデルを実際に実行する「推論(Inference)」に特化して最適化されており、推論エンジンと呼ばれます。この設計により、Groqは競合製品と比較して、AIパフォーマンスを維持または向上させつつ、大幅な低コストと高効率を実現しています。
Groqの技術は開発者や企業向けに急速に浸透しています。利用する開発者の数は、わずか1年で35万6000人から200万人以上へと急増しました。製品はクラウドサービスとして利用できるほか、オンプレミスのハードウェアクラスターとしても提供され、企業の多様なニーズに対応できる柔軟性も強みです。
今回の調達額は7.5億ドルですが、注目すべきはその評価額の伸びです。Groqの評価額は、2024年8月の前回の資金調達時(28億ドル)からわずか約1年で2.8倍以上に膨らみました。累計調達額は30億ドルを超えると推定されており、AIインフラ市場における同社の将来性に、DisruptiveやBlackRockなどの大手が確信を示しています。
創業者のジョナサン・ロス氏は、GoogleでTensor Processing Unit(TPU)の開発に携わっていた経歴を持ちます。TPUはGoogle CloudのAIサービスを支える専門プロセッサであり、ロス氏のディープラーニング向けチップ設計における豊富な経験が、Groq独自のLPU開発の基盤となっています。