AI大手、軍事契約へ軸足移す 安全性の理念は後退
詳細を読む
OpenAIやAnthropicなど主要AI企業が2024年以降、米国防総省との大型契約を相次いで締結し、軍事分野への進出を加速させています。かつては安全性を重視する姿勢を掲げていましたが、利用規約の変更や防衛企業との提携を通じて方針を転換。この動きに対し、専門家からは高リスクな環境でのAI利用や、技術が悪用される危険性について強い懸念の声が上がっています。
OpenAIは2024年、利用規約から「軍事および戦争」での利用を禁じる項目を削除しました。その後、米国防総省と2億ドルの契約を締結し、自律型兵器を開発する米アンドゥリル社とも提携。軍事技術開発への関与を明確にしています。
「安全志向」で知られるAnthropicもこの流れに追随しています。データ解析企業パランティアと提携し、自社モデルが米国の防衛・諜報目的で利用されることを許可。同社もまた、国防総省から2億ドルの契約を獲得しており、業界全体の方針転換を象徴しています。
この動きは新興AI企業に限りません。Amazon、Google、Microsoftといった大手テック企業も、防衛・諜報分野向けのAI製品開発を一層強化しています。この方針に対し、社内外の批評家や従業員からは抗議の声が高まっています。
AI倫理の研究機関AI Now Instituteの専門家は、この急激な変化に警鐘を鳴らします。AI企業が生成AIをリスクの高いシナリオにあまりにも安易に導入していると指摘。安全性の検証が不十分なまま実用化が進むことに強い懸念を示しています。
軍事グレードのAI開発は、意図せぬ結果を招く恐れもあります。特に、悪意ある第三者がAIを化学・生物・放射性物質・核(CBRN)兵器の開発に利用するリスクが懸念されます。この危険性はAI企業自身も認識しており、業界全体の深刻な課題となっています。