Spotify、AI生成音楽にラベル表示導入へ 不正利用対策も強化

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音楽配信大手Spotifyは9月25日、AI生成音楽に関する新方針を発表しました。AI利用の透明性を高め、不正なスパムやなりすましからアーティストとリスナーを保護することが目的です。創造的なAI活用は支援しつつ、プラットフォームの健全性を維持する構えです。

新方針の柱は、AI使用を明記するラベル表示の導入です。音楽業界の標準化団体DDEXと協力し、楽曲制作のどの過程でAIが使われたかを詳細に示すメタデータ標準を開発。すでに主要レーベル15社が採用を表明しており、業界標準となる可能性があります。

AIによるスパム行為への対策も強化します。今秋から、再生数稼ぎを目的とした短尺曲の大量アップロードなどを検出する新しいスパムフィルターを順次展開。同社は過去1年間で既に7,500万ものスパム楽曲を削除したと公表しており、対策を一層強化します。

アーティストの声を無断で複製する「AI音声クローン」やディープフェイクといった、なりすまし行為も明確に禁止します。許可なく他者の声を使用した楽曲はプラットフォームから削除する方針を改めて示し、アーティストの権利保護を徹底する姿勢を強調しました。

Spotifyは、アーティストがAIを創造的なツールとして責任を持って利用することは罰しないと明言しています。「我々はシステムを悪用する者を阻止する」と同社幹部は述べ、AIの利点を享受するためにも、不正行為の防止が不可欠であるとの考えを示しました。

この動きの背景には、誰でも簡単に音楽を生成できるAIツールの急速な普及があります。一部のサービスでは、毎日数万曲のAI生成楽曲がアップロードされるなど、コンテンツの急増が課題となっています。Spotifyは業界に先駆けて対応することで、市場の混乱を防ぐ狙いです。