Zendesk、自律型AIで顧客対応の8割を自動化へ
顧客サポート変革の核
導入効果と戦略的背景
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米カスタマーサポート大手Zendeskは、このほどAIサミットにて、LLMを活用した自律型の新しいエージェントシステムを発表しました。中核となる「自律型サポートエージェント」は、人間の介入なしに顧客サポート問題の80%を解決することを目指します。これは、年間46億枚のチケットを処理するZendeskのプラットフォームにおいて、カスタマーサポートのあり方を根底から覆す可能性を秘めています。
新システムは、課題解決率80%を担う「自律型エージェント」と、残りの複雑な20%の課題処理を人間の技術者を支援する「コパイロットエージェント」を中心に構成されています。さらに、管理層エージェントや音声ベースエージェント、分析エージェントなどが連携し、包括的なAI駆動型サポート体制を構築する設計です。
同社製品部門のプレジデントは、この動きを「AIが作業の大部分を行うシステムへの世界的なシフト」の一環であると位置づけています。従来の人間向けに設計されたソフトウェアから、AIが主役となるサポート体制へ移行することで、サポート業界全体の生産性と収益性の劇的な向上を図る狙いです。
AIによる80%解決という目標は、非現実的ではありません。ツールの呼び出し能力を測る独立系ベンチマーク「TAU-bench」では、現在トップモデルが85%の問題を解決しています。また、既存顧客での先行導入の結果、顧客満足度(CSAT)が5〜10ポイント向上しており、実用性も証明されています。
この大規模なAIシフトを支えるのが、Zendeskが積極的におこなってきたAI関連企業の買収です。2024年以降、QAおよびエージェントサービスシステムのKlaus、自動化プラットフォームのUltimate、そして分析エージェントの基盤となるHyperarcなどを相次いで取得し、技術的な基盤を強化してきました。
このAI技術が広く普及すれば、経済的なインパクトは計り知れません。米国だけでも240万人のカスタマーサービス担当者がいますが、情報検索に留まらず、複雑なトラブルシューティングや自律行動をAIが担うことで、人件費削減とサービス品質向上を両立させることが可能になります。経営者は、この変化を早期に取り込むべきでしょう。