インド、AI決済革命。ChatGPTで買い物新時代へ

エージェント導入事例市場動向

AI決済の仕組み

ChatGPT内で直接決済
インド統一決済UPIが基盤
Fintechが加盟店連携を支援

巨大市場インドの狙い

AI企業による顧客囲い込み
シームレスな購買体験の提供
10億人超の巨大ネット市場

参画する主要プレイヤー

OpenAI、Google、Anthropic
Tata系スーパー、通信大手
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インドの決済を司る国家決済公社(NPCI)は10月9日、OpenAI社などと提携し、対話AI『ChatGPT』を通じて直接商品の購入から支払いまでを完結させる実証実験を開始しました。この取り組みは、10億人超のインターネット利用者を抱える巨大市場で、AIを活用した新しい電子商取引の形を提示するものです。Googleの『Gemini』なども追随する見込みです。

この革新的な体験の基盤は、インドで広く普及する統一決済インターフェース(UPI)です。利用者は、将来の支払いのために資金を予約する『UPI Reserve Pay』などの新技術により、外部アプリに切り替えることなくAIチャット内でシームレスに支払いを完了できます。決済インフラはフィンテック企業Razorpayが担い、加盟店との連携を支えます。

実証実験には、タタ・グループ傘下のオンライン食料品店『BigBasket』と通信大手『Vi』が初期パートナーとして参加。利用者はChatGPTとの対話を通じて、食料品の注文や携帯電話料金のリチャージが可能になります。GoogleのGeminiやAnthropicのClaudeとの統合も数週間以内に予定されており、利用者の選択肢はさらに広がる見通しです。

OpenAIやGoogleにとってインドは最重要市場です。今回の提携は、AIを日常の購買活動に組み込むことで、ユーザーの利用時間を延ばし自社プラットフォームに定着させる『囲い込み戦略』の一環です。単なる決済機能の追加に留まらない、新たな顧客体験の創出が競争の鍵となります。

安全性への配慮もなされています。決済データがAI企業に共有されることはなく、二要素認証によって利用者の資産は保護されるとのことです。このようなAIが利用者に代わって取引を行う『エージェント決済』は世界的な潮流となりつつあります。日本企業も、顧客接点の変化を捉え、AIを活用した新たなビジネスモデルを模索する必要があるでしょう。