AI音楽教育の母、バンバーガーMIT名誉教授逝去 100歳

マルチモーダル導入事例MIT

AIと音楽教育の融合

1980年代にAIラボで研究
独自の音楽学習言語を開発
人間の音楽学習プロセスを解明

先駆者としての歩み

MITで初の女性テニュア教員
著名音楽家との共同研究
90代まで続けた教育と研究

後進への多大な影響

現役教授陣が語る多大な貢献
多くの学生を指導しキャリア支援
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マサチューセッツ工科大学(MIT)は、音楽教育とテクノロジーの融合を切り拓いたジャンヌ・シャピロ・バンバーガー名誉教授が、2024年12月12日にカリフォルニア州バークレーの自宅で100歳で逝去したと発表しました。バンバーガー氏は、MITのAIラボで研究を行い、コンピュータ言語を用いて音楽学習の方法に革新をもたらしたことで知られています。その功績は現代のAIと教育の分野にも大きな示唆を与えています。

バンバーガー氏の最大の功績は、テクノロジーを音楽教育に応用した点にあります。1980年代には、当時最先端であったMITの人工知能(AI)ラボに所属し、子供たちが音楽を直感的に学べる独自のコンピュータ言語「MusicLogo」や「Impromptu」を開発。これは、人間がどのように音楽を学び、理解するのかという根源的な問いを探求する彼女の生涯の研究の中核をなすものでした。

彼女は学問の世界における真のパイオニアでした。MITの音楽・演劇芸術部門で初めてテニュア(終身在職権)を獲得した女性教員となり、後進の女性研究者に道を拓きました。また、その活動は学内に留まらず、ジャズ界の巨匠ハービー・ハンコック氏と共同研究を行うなど、分野の垣根を越えて音楽と知性の可能性を追求し続けました。

彼女の情熱と探究心は、多くの同僚や学生に深い影響を与えました。同僚のエヴァン・ジポリン教授は「彼女がいなければ今日のMIT音楽部門はなかった」と語ります。また、教え子の一人で現在はキングス・カレッジ・ロンドンの教授を務めるエレイン・チュー氏は「彼女は自分で考える力、主体性を育むよう導いてくれた」と振り返っており、その教育者としての姿勢が高く評価されています。

2002年にMITの名誉教授となった後も、カリフォルニア大学バークレー校で教鞭を執るなど、90代まで精力的に活動を続けました。彼女が長年提唱してきた新しい音楽棟の建設や大学院プログラムの設立は、近年ついに実現。バンバーガー氏が遺した先進的なビジョンは、今もなおMITで息づき、未来の音楽とテクノロジーの発展を支えています。