MIT発、服を自在に組み替えるサステナブル設計術

プロダクティビティマルチモーダルAdobe

服をモジュール化する新発想

デザインを構成要素に分解
描画ツールで直感的に設計
3Dモデルで着用時をシミュレーション

サステナブルな未来の服

ズボンをドレスに自在に組み替え
体型変化やトレンドに対応
年間9200万トンの繊維廃棄削減に貢献

誰でも使えるデザインツール

初心者でも30分で試作品
スナップやベルクロで簡単に接合
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マサチューセッツ工科大学(MIT)とアドビの研究チームが、衣服を自在に組み替えられる革新的なデザインソフトウェア「Refashion」を発表しました。このツールは、デザインを小さなモジュールに分解し、ズボンをドレスに変えるといった再構成を可能にします。ファッション業界が抱える年間9200万トンもの繊維廃棄物問題に、テクノロジーで挑む画期的な試みです。

「Refashion」の最大の特徴は、デザインのモジュール化です。ユーザーは専用の描画ツールでパーツを描き、それらをパズルのように組み合わせるだけで設計図が完成します。テンプレートも用意されており、Tシャツやパンツなどの基本的なアイテムを元に、直感的なカスタマイズが可能です。

このシステムでは、プリーツやダーツといった専門的なデザイン技法も簡単に取り入れられます。これにより、体にフィットするシャツや、ふんわりとしたスカートなど、デザインの幅が大きく広がります。単なる機能性だけでなく、創造性を刺激するツールとしての側面も持ち合わせています。

パーツの接合には、縫製だけでなく金属スナップやベルクロといった再利用可能な方法を推奨しています。これにより、誰でも簡単にパーツの付け外しや交換ができます。ダメージを受けた部分だけを修理したり、気分に合わせてスタイルを変えたりすることが、手軽に行えるようになります。

デザインした衣服は、2Dのマネキン上でレイアウトを確認後、様々な体型の3Dモデルで着用シミュレーションが可能です。これにより、実際に制作する前にフィット感や見た目を正確に把握できます。初心者でもわずか30分で試作品を完成させられる手軽さも実証されています。

この取り組みは、服のライフサイクルを根本から変える可能性を秘めています。トレンドの移り変わりや体型の変化に合わせて服を買い替えるのではなく、手持ちの服を再構成する文化を創造します。サステナビリティが経営の重要課題となる中、廃棄を前提としない新しいものづくりの形を示しています。

チームは今後、より丈夫な生地への対応や曲線パネルなどの新機能追加、さらには古着を「リミックス」する機能も検討しています。コンピューター支援設計が持続可能なファッション業界の実現を後押しする、先進的な事例として注目されます。