Google AI、振付師の舞を学習しダンスを創造
AI振付ツールAISOMA
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Google Arts & Cultureは、世界的な振付師ウェイン・マクレガー氏と共同で、AI搭載の振付ツール「AISOMA」を公開しました。ユーザーの動きをAIが分析し、氏の膨大なアーカイブから独自の振付を生成。AIを創造的な触媒として活用し、アートとテクノロジーの融合を探る試みです。
「AISOMA」は、ユーザーが短いダンスを披露すると、AIがその動きをマクレガー氏独自のスタイルで拡張・発展させる仕組みです。オンライン上で誰でも利用でき、専門家でなくともダンス制作のプロセスに参加できるのが特徴。創造性を刺激する新たなツールとして注目されます。
このAIの根幹をなすのは、マクレガー氏の25年以上にわたる活動から抽出された約400万ポーズにも及ぶ膨大なデータです。数百のビデオアーカイブから得られた動きの語彙をAIが学習することで、氏の芸術性を反映した、独創的でありながらも一貫性のある振付の生成を可能にしています。
技術面では、TensorFlow 2とMediaPipe poseが活用されています。これにより、従来の2次元的な動きの分析を超え、3次元空間における身体の複雑な動きをマッピングし、理解することが可能になりました。身体の構造的な文法を捉えることで、より高度な振付生成が実現したのです。
マクレガー氏は「AISOMAは最終的な答えではなく、出発点だ」と語ります。このツールは、人々が振付や創造のプロセスに能動的に参加するための招待状なのです。AIは人間の創造性を代替するのではなく、むしろそれを拡張し、新たな可能性を引き出す協力者となり得ることを示唆しています。
この革新的なツールは、オンラインで体験できるほか、2025年10月30日からロンドンのサマセット・ハウスで開催される展覧会「Wayne McGregor: Infinite Bodies」でも実際に触れることができます。アートとAIの最前線を体感する貴重な機会となるでしょう。