Android遠隔ロック、サンパウロ警察の切り札に

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携帯盗難という社会課題

ブラジルで深刻な携帯電話の盗難
従来は被害届の受理のみで対応

Androidの技術的解決策

警察専用端末に遠隔ロック機能を統合
電話番号入力で盗難端末を即時ロック
個人データの不正利用を防止

導入後の大きな成果

導入4カ月で5,000回以上利用
盗難端末のGPS追跡で犯人逮捕も
市民と警察官から高い評価を獲得
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ブラジルのサンパウロ州警察が、多発する携帯電話盗難に対処するため、Googleの法人向けプラットフォーム「Android Enterprise」のリモートロック機能を導入しました。2025年6月の運用開始以来、この新機能は5,000回以上利用され、市民の個人データを保護し、犯人逮捕にも繋がるなど大きな成果を上げています。警察官が専用端末から遠隔で盗難スマホをロックするこの取り組みは、テクノロジーを活用した新たな市民防衛の形として注目されています。

サンパウロでは、携帯電話の盗難が市民と警察双方にとって深刻な問題でした。特にカーニバルのような大規模イベントでは被害が多発。警察はこれまで、被害届を受理する以上の積極的な介入が難しく、被害者のデータ保護や端末の回収は困難な状況でした。市民の安全を守るため、より効果的な対策が急務とされていました。

解決の鍵は、サンパウロ州警察が既に8万人の警察官向けに配備していた1万台の専用端末(TPD)でした。この端末に搭載されたAndroid Enterpriseの機能を活用できないかと考えた警察は、Googleのチームと連携。その結果、Androidに標準搭載されているリモートロック機能を警察の業務システムに統合することに成功しました。

新たな仕組みは非常にシンプルです。市民から盗難の通報を受けた警察官は、手元のTPDから専用ウェブページにアクセス。被害者の電話番号を入力するだけで、盗難された端末の画面を即座にロックできます。これにより、第三者による端末内の個人情報へのアクセスや不正利用を効果的に防ぐことが可能になりました。

この機能はデータ保護に留まりません。被害者の許可を得れば、警察はゲストモードを使って盗難端末のGPS位置情報を追跡することもできます。これにより、端末の迅速な回収や犯人の逮捕に繋がり、警察の捜査能力を大幅に向上させました。市民はデータ保護と端末回収の両面で、より強力なサポートを受けられるようになったのです。

導入後の反響は絶大です。2025年6月の開始からわずか数カ月で、リモートロック機能は5,000回以上も活用されました。警察が作成した機能紹介ビデオは100万回以上再生されるなど、市民の関心も非常に高いです。被害者の安堵した表情が、この取り組みの成功を何よりも物語っています。

サンパウロ州警察のこの成功事例は、テクノロジーがどのように市民の安全に貢献できるかを示す好例と言えるでしょう。操作の容易さとコミュニティからの高い評価に基づき、このソリューションは世界中の警察組織が模倣できる可能性があると関係者は期待を寄せています。