Google、AI教育に3千万ドル拠出 学習支援を加速

AI学習支援への巨額投資

3年間で3000万ドルを拠出
変革的な学習ソリューションを支援
AI教育の普遍的なアクセスを推進
ラズベリーパイ財団などと提携

学習AI「LearnLM」の有効性

数学指導でLearnLMを試験導入
教師のみより高い学習効果を実証
生徒の問題解決能力が5.5%向上
事実誤認はわずか0.1%の信頼性
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Googleは11日、ロンドンで開催したフォーラムで、AIを活用した学習分野に今後3年間で3000万ドルを拠出すると発表しました。同社は教育機関との連携を深め、学習専用AIモデル「LearnLM」が人間の教師を補助することで教育効果を高めたとする研究結果も公表。AIによる教育革新を加速させる姿勢を鮮明にしています。

Google.orgを通じた3000万ドルの資金提供は、変革的な学習ソリューションや基礎研究を支援するものです。初期の提携先には、AI時代のコーディング教育を推進する「ラズベリーパイ財団」などが含まれます。AI技術を誰もが利用できる教育環境の構築を目指し、世界規模でのアクセス格差是正に取り組みます。

同時に発表された研究成果は、AIの教育効果を具体的に示しています。英国の13〜15歳の生徒165人を対象とした実験では、教師が学習用AIモデル「LearnLM」を併用して数学を指導した結果、教師単独の場合と比較して、生徒が自力で新しい問題を解く能力が5.5パーセントポイント向上しました。

この実験でLearnLMが示した事実誤認は、全メッセージのわずか0.1%に留まり、その信頼性の高さも注目されます。AIは単なる知識検索ツールから、個々の学習者に最適化された「チューター(個人教師)」へと進化する可能性を秘めていると言えるでしょう。

Googleは研究だけでなく、具体的な製品展開も進めています。デジタル先進国エストニアでは、国家プロジェクト「AI Leap」と提携し、2万人以上の生徒・教師に「Gemini for Education」を提供。また、英国ではYouTubeに対話型AIツールを導入し、動画視聴を通じた学習体験を向上させています。

今回の発表は、教育分野におけるAI活用の新たな局面を示唆しています。Googleは今後も米国インドなどで同様の実証実験を重ね、AIが教育に与える影響を科学的に検証していく方針です。教育の生産性と質の向上が期待されます。