Gemini搭載の新AI、仮想世界で思考し自律行動
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Google傘下のDeepMindは2025年11月13日、次世代AIエージェント「SIMA 2」の研究プレビューを公開しました。同社のAIモデルGeminiの高度な言語・推論能力を統合し、仮想3D世界で複雑な指示を理解して自律的に行動します。これは汎用人工知能(AGI)開発に向けた大きな一歩となります。
2024年3月に発表された前モデルSIMA 1は、基本的な指示に従うことはできましたが、複雑なタスクの成功率は31%に留まっていました。SIMA 2はGeminiとの統合により、性能が2倍に向上。単なる命令実行を超え、環境を深く理解し、対話する能力を獲得しました。
SIMA 2は、Geminiの能力を活かして内部的な思考プロセスを示すことができます。例えば「熟したトマト色の家へ行け」という指示に対し、「トマトは赤い、だから赤い家へ行く」と推論し行動します。さらに「🪓🌲」といった絵文字の指示も理解し、木を切り倒すといった行動が可能です。
SIMA 2の革新性は、その学習方法にあります。人間のプレイデータを初期モデルの構築に使うものの、その後はAI自身が新たなタスクを生成し、試行錯誤を通じて能力を向上させます。この自己改善ループにより、人間からの大量のデータなしに未知の環境へ適応していくのです。
DeepMindは、AIが身体を持って仮想または物理世界と対話する「身体性エージェント」の研究が、汎用知能の鍵だと考えています。SIMA 2は、このコンセプトを体現するものであり、仮想環境での経験を通じて、より汎用的な問題解決能力を養うことを目指しています。
SIMA 2で培われた技術は、将来的に物理世界で活動する汎用ロボットの開発に応用されることが期待されています。家事支援など、複雑な状況判断が求められるタスクをこなすロボットの実現に向けた重要な布石です。ただし、具体的な実用化の時期はまだ示されていません。
