Google、インドでAI詐欺対策強化も機種と言語に課題
画面共有の悪用防止
普及への高いハードル
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Googleは20日、インドにおけるデジタル詐欺対策として、AIを活用した新たな保護機能を発表しました。Pixel 9シリーズ向けのリアルタイム詐欺検出や、主要な金融アプリでの画面共有警告などが導入されます。インドではデジタル決済の普及に伴い詐欺被害が急増しており、2025年だけで数億ドル規模の損失が発生している深刻な状況に対応する狙いです。
目玉となるのは、同社の軽量AIモデルGemini Nanoを活用した通話分析機能です。デバイス上で処理が完結するため、通話内容がGoogleのサーバーに送信されることはありません。未知の番号からの通話中に詐欺の兆候を検知すると、ユーザーに警告音と通知で知らせる仕組みですが、現状は英語のみの対応となっています。
この機能の普及には大きな壁が存在します。インドのスマートフォン市場でAndroidは96%を占めますが、対応するPixel端末のシェアは1%未満に過ぎません。また、多言語国家であるインドにおいて、英語話者のみを対象とした機能展開では、最も脆弱な層を保護しきれないという指摘もあります。
一方で、より広範なユーザーに向けた対策も講じられています。PaytmやGoogle Payなどの金融アプリと連携し、通話中に画面共有を求められた際に警告を表示する機能を試験導入しました。詐欺師がワンタイムパスワード等を盗み見る手口を防ぐもので、こちらは将来的にインドの現地言語にも対応する予定です。
Googleは他にも、サイドローディングによる危険なアプリのインストールを1億回以上ブロックするなど対策を強化しています。しかし、公式ストアであるGoogle Play上でも依然として偽アプリが散見されるなど、巨大なエコシステムの健全化には依然として課題が残されています。