米「ジェネシス計画」始動 AI国家基盤化と規制を巡る攻防

科学発見加速へ「ジェネシス」始動

国立研究所とスパコンを統合する閉ループAI基盤
科学研究サイクルを数年から数ヶ月へ短縮

民間連携と不透明な予算構造

OpenAI等主要企業が参画、計算資源支援の側面も
具体的な予算措置や費用負担は明示されず

州規制無効化案の頓挫

David Sacks氏主導の州法無効化は反発で延期
政治的対立を避けインフラ整備を先行発表
@sputnik_jpのXポスト: 【「新マンハッタン計画」:トランプ大統領、AIプロジェクト「ジェネシス・ミッション」始動】 米国は、AI開発を促進する国家プロジェクト「ジェネシス・ミッション」の開始を発表した。トランプ米大統領は、その規模と緊急性においてマンハッタン計画に匹敵するとしている。… pic.twi…
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米政府は2025年11月、AIによる科学発見を加速する国家プロジェクト「ジェネシス・ミッション」を発表しました。エネルギー省(DOE)傘下の国立研究所やスパコンを統合する野心的な計画ですが、同時に検討されていた州独自のAI規制を無効化する大統領令は見送られました。

本計画は「マンハッタン計画」に匹敵する規模とされ、17の国立研究所と数十年分のデータを閉ループのAI実験プラットフォームとして統合します。物理学からバイオ技術まで、科学研究のサイクルを「数年から数ヶ月」に短縮し、研究開発の生産性倍増を目指します。

協力リストにはOpenAIGoogleNVIDIAなど主要AI企業が名を連ねます。計算資源と電力コストの高騰に苦しむ民間企業にとって、公的インフラへのアクセスは事実上の補助金になり得るとの指摘もあり、その恩恵の行方に注目が集まります。

重大な懸念点は予算の裏付けがないことです。誰が巨額の構築費を負担し、どのような条件で民間がアクセスできるかは未定です。一方で、政府はデータ管理やセキュリティの標準化を進めており、これが将来の業界標準になる可能性があります。

政治的背景として、David Sacks特別顧問は当初、州のAI規制を連邦権限で上書きする強硬な大統領令を準備していました。しかし、この「パワープレイ」は与野党双方からの激しい反発を招き、結果として政治的リスクの低いジェネシス計画が先行して発表された経緯があります。

企業リーダーは、政府主導のデータガバナンスや閉ループ実験モデルが今後の標準となる可能性を注視すべきです。特に規制産業では、連邦レベルのセキュリティ基準や相互運用性が競争条件となるため、早期の対応準備が求められます。