企業RAGの検索再構築が本格化、ハイブリッド検索の導入意向が3倍に

検索アーキテクチャの転換

ハイブリッド検索意向が10%から33%に急増
単独ベクトルDBの採用シェア低下
カスタムスタックが35.6%に拡大
検索最適化が投資優先度の首位に

評価基準の高度化

回答正確性・検索精度・回答関連性が同率に収束
回答関連性が唯一上昇した評価指標
ロングコンテキストは15.5%から6.7%に後退
本番RAG未導入企業も22%に増加
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VentureBeatの調査「VB Pulse」によると、2026年第1四半期に企業のハイブリッド検索導入意向が10.3%から33.3%へと3倍に急増しました。従業員100人以上の企業を対象に毎月45〜58件の有効回答を得た調査で、企業がRAG検索拡張生成)の検索レイヤーを追加するフェーズから、既存アーキテクチャを再構築するフェーズへ移行していることが明らかになっています。

ハイブリッド検索とは、ベクトル類似検索にキーワード検索やリランキング層を組み合わせる手法です。単一手法のRAGパイプラインでは対応しきれなかった検索精度とアクセス制御の課題を解決するもので、エージェント型AIワークロードの本番運用に不可欠とされています。一方、Weaviate・Milvus・Pinecone・Qdrantといった単独ベクトルDBは四半期を通じて採用シェアを落としました。

投資優先度にも変化が見られます。評価・関連性テストは1月の32.8%から3月の15.6%へ低下し、代わりに検索最適化が19.0%から28.9%へ上昇して初めて首位に立ちました。HyperFRAME ResearchのSteven Dickens氏は「データチームはフラグメンテーション疲れに疲弊している」と指摘し、ベクトルストア・グラフDB・リレーショナルシステムを別々に管理する運用負荷の問題を挙げています。

検索システムの評価基準も高度化しています。1月には回答正確性が67.2%で突出していましたが、3月には回答正確性・検索精度・回答関連性がいずれも53.3%で収束しました。正しい答えだけでなく、適切な文脈から検索されたかを問う段階へ企業が進んでいることを示しています。

RAGは終わった」という議論についても、調査データは明確な回答を示しています。ロングコンテキストウィンドウが検索を不要にするという見方は、1月の15.5%から2月に3.5%まで急落しました。Databricksの主任AIサイエンティストJonathan Frankle氏は、数百万件のエントリを持つベクトルDBがエージェント型メモリスタックの基盤にあり、コンテキストウィンドウだけでは置き換えられないと説明しています。RAGそのものではなく、最初に構築されたアーキテクチャが否定されているのです。